ちょっと過去に書いてみた話をブログ投稿してみるなり。
お暇な方は読んでちょ☆
僕は暗い穴の中に落ちていって死んだ。ヤバイ、やっちまった。
数秒後には、
「さっきのは無し!」
と言って、僕がまた画面上に現れる。ライフ、マイナス1。
もし本当にテレビゲームの様に「さっきのは無し」と言えるのなら。今ここにいる、十五階建てマンション一三〇六室のこの僕は、いつに「さっき」を設定するのかなあと、考えてもどうにもならない事を考え始めた。いつもの僕の悪い癖だ。
やめやめ。コントローラーを投げ出してベランダに出てみた。
どこまでも人工的に開拓されたこの街が、ちょうど夕陽のオレンジに染まっていく時間だった。この一瞬、街が無意味な美しさを取り戻しているようだ。
真下に見える、きちんと整備されたマンション備え付けの公園。今日もいつもの子供達が鬼ごっこをしている。この世界に時間がなかったら、あの子達はきっと永遠に遊び続ける。何故だか僕はそう思う。ほら、またあいつが鬼だ。確かあいつの名前はケンジ。ヤバイ、覚えてる自分が怖い。
ケンジに鬼が回ったら最後、ケンジはずっと鬼だ。見てるうちに、彼等のそんな暗黙のルールすら知ってしまった。それでもケンジは笑いっぱなしでちょこちょこと動いている。全く何がそんなに楽しいんだろう。僕も彼等ぐらいの年頃…四、五歳の頃はあんな風に笑っていたんだろうか。僕はもう十四にもなってしまった。
「ケンジー、帰るわよー。」
ほら、母親が呼びに来た。
「バイバーイ。」
「バイバーイ。」
いくつもの「バイバイ」の声が小さく僕の耳に届く。彼等の振る手は、何の疑いもなく明日また会える事を信じている手だ。
「ナオ兄ちゃん。」
妹だ。兄妹は僕しかいないのに妹は必ず「兄ちゃん」の前に僕の名前、ナオを付けて呼ぶ。
妹、鈴木アイは十歳にしては幼い気もする。一方で考えすぎだとも思う。
何故なら僕は恥ずかしい程夕方のテレビを見ているのだ。その時間帯にやっている番組に洗脳されてそうな気がする。大抵、歌舞伎町の今とかホームレスの人たちの生活とか、後は渋谷に集まる十代の性の実態なんて特集が組まれている。だからあのテレビの中の子供達が普通なんだと無意識に信じているかもしれないのだ。
そんな僕だから、妹のアイが時折、天使に見える事さえある。くりくりの天然パーマの薄茶色の髪、大きな黒目がちの瞳、色白の肌、ピンクの頬…全ての可愛らしさを備えて、アイはこの家に生まれてきた。そんな、僕に全然似ていないアイの事を、両親は愛していると思う。
僕よりずっと。
毎日思ってしまうのだ。しまった、また悪い癖が出た。考えても仕方がないのだった。
「ゴハンだよぉ、ナオ兄ちゃん。」
砂糖菓子のような声で、アイは爪を噛み、ミニーちゃんの縫いぐるみを抱えながら僕を見ている。