柄にもなくクラシックの名曲を取り上げます。

何故なのかというと、普通クラシックは作曲者本人が演奏するのを耳にする機会はありませんよね。

そりゃそうです。人間何百年も生きられませんものね。

だけど、比較的新しい人(といっても130年程前ですけど)の演奏は残っていたりするんですね。

このアルバムはそういう意味で非常に貴重なのです。

巨匠本人の演奏集でしかも二人も!




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フリッツ・クライスラー(vn)は1875年ウィーンで生まれ、1899年にベルリン・フィルとの共演で

本格的なデビューを果たしています。1901年にはアメリカ、翌年にはイギリスでデビューし

大成功を収め、1923年には来日もしています。(見に行きたかったなあ。生まれてないから無理か)


ウィーン三部作(愛の喜び、愛の悲しみ、ウィーン奇想曲)や美しきロスマリンをはじめ

愛すべき小品の数々は、私のツボにピッタリ嵌って大好きなのです。

当然といえば当然ですけどクラシックのコンポーザーはプレイヤーとしても超一流なのですが、

彼もご多分に洩れず名ヴァイオリニストでした。



こんな逸話があります。

アントワープでの事。ロンドンでの次の公演に向かう途中、海峡連絡船に乗り遅れた彼は

古道具屋を訪れましたが、そこに飾ってあったヴァイオリンが目にとまり、

ここの主人がどの位価値を解っているのか試そうと思い、自分のヴァイオリンを取り出し

買う気があるか訊いてみました。

すると主人はクライスラーを待たせて警官を呼びに行き


「この男は泥棒だ。クライスラーのヴァイオリンを持ってきて売ろうとしている。捕まえて下さい。」


ここで徐にクライスラーはヴァイオリンを手にして「美しきロスマリン」を弾きだしたそうです。

ほんの数フレーズ聴いただけで主人の疑念は興奮に変わりました。


「この人は本物のクライスラーです。こんな風に弾ける人が他にいるはずがない。」




どうですか?こんな話を聞くと本人の演奏を是非聴いてみたくなるでしょう?

SPレコードの復刻のこのCDを二十数年前に見つけた時は、即ゲット。

さっそく家に帰って古道具屋の主人になったつもりで聴いてみました。

1927~1946年の録音なのでプチプチ雑音が入り聴きづらいのですが、

ふくよかな音とテクニックはさすがで・・・  「貴方は本物に間違いない」 なんてね。

本人演奏ということだけで、満足した私でした。



そしてもう一人の巨匠ラフマニノフと 「ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第8番」を

共演しているのも収録されています。




愛の悲しみ