令和『親父学』入門

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家族をカルトの脅威から守るために気をつけるべきこと



本人の脱会する意志が明確な場合、配達証明+内容証明郵便で『脱会届』を自分で作成し、教団本部の代表宛に郵送すれば宗教団体から脱会するのは決して難しくないことは以前にも説明した通りです。




しかし、進学や就職を機に実家を離れた家族が、知らないうちに入信させられてしまい、

カルト教団からの洗脳・マインドコントロールによって完全に支配されてしまうなどして本人が脱会の意志がない場合は「脱会させる」ことは困難を極めます。


先ず、必要となるのは『予防』であります。



カルト教団や極左暴力集団などがクラブやサークルに偽装した拠点を大学に作っているケースがあり、宗教と無関係に見えるサークル活動であっても、

学生のクラブ活動を統括する学内の部局が、そのサークルを認可していなかったり、

それらの『偽装サークル』による政治・宗教の勧誘などが大学側から問題視され、掲示板などを通じて学生に入会しないよう注意喚起がなされていたりするので、そういった情報を日頃から仕入れておくように予め教えておくことが最大の予防策です。


そして、間違いを犯したとしても厳しく責めるのではなく、

普段から何でも気軽に相談し合える親子関係を築いておくことが大切です。


電話越しの些細な口調の変化にも目を配るのは勿論のこと、

仕送り先・バイト代の振り込みを指定した銀行口座の通帳・印鑑はすべて実家の方で掌握しておき、

子供が学生のうちは、キャッシュカードのみを渡して家の方で記帳しに行くなどして引き出しの額をチェックし、不穏な金の動きがないかについても日頃から目を光らせておくのもひとつの方法だと思います。




カルトに限らず、頻繁に引き出しがなされている場合は、何らかの事件に巻き込まれているケースも考えられるので、

「なぜ、そんなにお金が必要なの?」と質問し、それで言い淀むようなら、不正な使われ方をしていると見て間違いないので、早急に、その原因を追及してやるべきであります。




学生だけではなく、家事や育児に追われている専業主婦なんかも社会の常識に疎くなりがちであり、

「健康」「美容」「幸福」という単語や、表面的かつ浅薄な魅力に騙されやすい傾向にあることからも、カルト集団の標的になる可能性が高いと言えます。


実家から遠く離れ、見知らぬ土地での生活に追われているなかで友達に恵まれることもなく、自己肯定感が低く、厭世的になりがちな日々を送るなかで、

子供の友達の母親や、訪問してきた勧誘員の誘いにのってしまい、入信してしまうなんてこともあります。


真面目でお人好しな人ほど勧誘を断るのが難しく、セミナーや会合に参加していくうちに、いつのまにかマインドコントロールされてしまい、

次第に、この国や世界の全てがどうしようもなく穢れているように感じるようになり、教団の中だけが幸せな世界だと思うようになってゆきます。


そうなってしまったら最後、いくら周りがその教義の矛盾を指摘しようが、その教団が犯罪すら厭わない危険なカルト集団であることを繰り返し教えようが聞く耳を持たないばかりか、逆に敵意を向けてくるようになります。


しかし、そうなってしまった原因を作ったのは誰なのか!?



家族がカルトに入信してしまうのは、カルト宗教以外に生き甲斐を見つけられなかったからです。


他に、代わりになる楽しいことがあれば、カルトに入信することなんか無かったかもしれない。


結局、代わりになるものを与えてやる甲斐性がなかった(※与えてやろうとしなかった)側にも問題があるわけで、

厳しいようですが、仕事にかまけて家のことを疎かにしてきた旦那もまた、カルトの被害者であると同時に、家族にとっては『加害者』であると言えます。