天孫降臨に関する記述は古事記にも記録されていますが、
皇祖・天照大御神(※天照皇大神)が 孫(※天孫、皇孫)のニニギノミコトに賜った『神勅』の内容に関しては、日本書紀に詳しく記されております。

 此の記述は、それまでの豪族による支配が乱立する混沌とした古代の日本列島を、大王(※天皇) を戴く統治システムによって纏め上げていった歴史的背景を象徴する物語であり、
今日まで続く 日本国の正統性を保証するものでもあります。

皇室の伝統であると同時に、
日本の『建国の本義』と言うべきものであります。

【天壌無窮の神勅】
葦原千五百秋瑞穂の国は、是、吾が子孫の王たるべき地なり。爾皇孫、就でまして治らせ。行矣。宝祚の隆えまさむこと、当に天壌と窮り無けむ。
【口語訳】
 豊に生い茂るあの瑞々しい聖なる国は、これ我が子孫が王として代々治めるべき地である。
 皇孫よ、行って治めなさい。さあ、お行きなさい
 あなた達のその王たる御位は、天地と共に永遠に栄える事でありましょう。

【宝鏡奉斎の神勅】
吾が児、此の宝鏡を視まさむこと、当に吾を視るがごとくすべし。与に床を同くし殿を共にして、斎鏡をすべし。
【口語訳】
 我が子よ、この鏡をご覧になる事は、私を見るのと同じであると考えよ。
 この鏡をお前の住む宮殿内に安置し、お祭りをなすときの神鏡にしなさい。

【斎庭(ゆにわ)の稲穂の神勅】
吾が高天原に所御す斎庭の穂を以て、亦吾が児に御せまつるべし。
【口語訳】
 私が高天原に作る神聖な田の稲穂を、また、我が子に授ける事としよう。

 上記を指して『三大神勅』というのに加え、
さらに、同段で天照皇大神が臣下の天児屋命太玉命に下した『侍殿防護の神勅』と、
天孫ニニギノミコトの母方の祖父にあたる 高御産巣日神(※高皇産霊尊) の下された『神籬磐境の神勅』の2つを併せて『五大神勅』といいます。

 そして、何より注目すべきなのは、高天原の主宰神にして 皇室のルーツである天照皇大神が、女神様にあらせられることであります。

 そして、皇統の正統性を示す天壌無窮の神勅』の中において、天照皇大神が、後の天皇を指して「吾が子孫」「皇孫」と仰有っていますが、
天照皇大神の子孫は、必ず 男系によって継承されなければならないなどとは、何処にも書かれておりません。

 にも拘らず、日本最大の保守系団体である『日本会議』に加わっている団体の1つ、
『神道政治連盟』が、過去に 会長名義で以下のような談話を発表しています。

↓↓

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」に関する神道政治連盟会長談話

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が成立、公布された。今後は天皇陛下の御譲位に向けての諸準備がなされるものと拝察されるが、御譲位からはじまる皇位継承に関はる諸儀式が、皇室の長い伝統に則り、皇位の重みを尊重して、国の重儀として執り行はれるやう慎重に検討を重ねるべきである。
 本特例法制定に関して何よりも問題視すべきは、衆参両議院の附帯決議に「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」と「女性宮家の創設等」の文言が検討課題として盛り込まれたことである。
たしかに附帯決議に法的拘束力はないが「、女性宮家」の創設が優先して検討されるかのやうな報道がなされた。「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」については、法案審議の政府答弁にあるやうに、まづは「男系継承が古来例外なく維持されてきた」重みを踏まへて、皇室の安泰化に向けた方策の検討が望まれる。
 他方、「女性宮家の創設等」については、宮家が、皇位継承権を有する者を当主とする皇族御一家のことを意味してをり、宮家の創設には必ず皇位継承の問題が関はってくることから、皇位継承の課題と切り離されて記載されたものと推察する。
 しかし、野田内閣当時、「女性宮家」について、「皇位継承の問題ではない」と明言してゐたにもかかはらず、同じ語が民進党の主張により「安定的な皇位継承」といふ文脈で盛り込まれたことは看過できない。過去と異なる主張を押し通した民進党の姿勢は言ふに及ばず、国会での十分な検討もなされず決議に盛り込まれたことは誠に遺憾である。このことを十分認識・留意しつつ、これからの議論を進めるべきである。
 なほ、「女性宮家の創設等」については、女性皇族の御結婚によって「皇室活動の安定性」が将来的な問題とされるのであれば、例へば御結婚後であっても、皇族身分であった者としてその後も皇室活動に協力することが出来る方途など検討すべきである。

以上

 元々、神社神道には 他の宗教団体に於ける『教義』にあたるものが存在しないとはいえ、
元来 保守的傾向の強い 神社関係者たちが、日本会議の前身である『日本を守る会』の頃から協力関係にあった 他の宗教団体や、
世俗主義・唯物主義的な価値観を有する保守派の学者による思想的な影響を受けてしまったことは、実に、嘆かわしい『堕落』であります!!

 単に、神武天皇から続いてきた 男系の血統のみを崇拝の対象とし、
本来、神社本庁が本宗として仰いできた筈の 天照皇大神を軽んじるかのような『珍説』の数々を容認すること自体、あってはならないことであります。

伝統を守るというのは、
決して 固陋に甘んじること ではありません!!

神社関係者は、自分達が本来あるべき所に戻るべきであります!!

日本の伝統と、皇室の弥栄のためにも、
女性・女系天皇公認、
女性宮家創設のための 皇室典範改正は、
もはや 避けることはできません!!