文化ライターのブルーノです。

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今回は、技術士総合技術監理部門の「リスク対策(対応)」についてです。
なお、リスク対策は、安全管理の項目になります。
また、リスク対策は、リスクマネジメントの一課程に過ぎません。
ちなみに、リスクマネジメントは、次のようなステップで進めていきます。
(1)リスク対応方針の決定
(2)リスクアセスメント
        ①リスク特定
        ②リスク分析
        ③リスク評価
(3)リスク対策
(4)モニタリング・レビュー
(5)フィードバックによる改善
リスクマネジメントでもPDCAサイクルを回すことが基本になります。
ここでは、リスクアセスメントの詳細は、省略させてもらいますが、かなり重要な内容なので別の機会に紹介したいと思います。
リスク対策も含めてリスクマネジメントは、安全管理の項目なのですが、総合技術監理部門全体の中で「総合管理技術」の1つでもあります。
総合技術監理と「総合管理技術」、同じような用語ですが、意味合いが少し違います。
ここでは、「総合管理技術」の詳細についても省略させてもらいますが、簡単に言えば、総合技術監理の5つの管理項目(経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理)を個別に管理するのではなく、互いに関連づけて総合的に管理するときに使う管理技術のことです。
5つの管理項目各々にリスクがあるのですが、マネジメントするときは5つとも包括して考えるということです。

さて、それでは戻ってリスク対策についてです。
皆さん、仕事でも旅行でも、何か活動するときには必ず何らかのリスクがつきまといます。
しかし、そのリスクが現実に起こってしまってはいけないので、起きないように活動の前に対策を考えます。
そして、考えた結果、手間やお金をかけて対策を打つリスクもあるし、起こっても大したことにならないリスクには何もしない場合もあります。
あるいは、活動(旅行)そのものをやめてしまうこともあるかもしれません。
それらが、リスク対策です。

リスク対策について、青本5.1.4に次のように書かれています。
「リスク対策を意思決定するためには、リスクアセスメントの結果を基に総合的・多角的に判断する必要がある。対策の選定に際しては、その対策効果を定量的に把握できれば、より合理的に選定が実施できる。また、対策すべき当該リスクが、ある代替案によって低下したとしても、その代替案の実施によって新たなリスクやデメリットが発生する可能性もある。」

実際のリスク対策(対応)については、青本では4つの対策が、ISO31000では7つの対応が示されています。
青本とISO31000で共通するのが、リスク保有、リスク回避、リスク移転の3つであり、リスク低減の中身をさらに4つに分類しているのがISO31000です。

それでは、青本とISO31000に示されているリスク対策(対応)をまとめて説明していきます。

(1)リスク保有
特定のリスクから結果的に生じる損失負担及び利益を受容することです。
リスク保有には認知されていないリスクの受容も含まれます。
要するに、何も対策をしないということです。
リスクの発生確率が低く、顕在化した場合の影響が小さいものは、費用や労力をかけてまで対策せず、あえて放置しておくことです。
ごくごく小さなリスクまで、すべてのリスクに対策を打つというのは現実には無理があるのです。
例えば、工事現場でのかすり傷等の赤チン災害(労災ではない)とか、印刷生産での自動プリント器械で100万回に1回起こるか起こらないかの印刷ズレ等は、リスク保有です。

(2)リスク回避
特に新たな事業の開始時における判断として採られる対策です。
リスクが生じる活動の開始または継続しないという意思を決定することです。
リスクの発生確率が比較的高く、顕在化した場合の影響が大きい(中規模以上)もので、効果的なリスク低減や移転の対策方法がなく改善の見込みがない場合に採られる対策です。
要するに、活動そのものを止めるということです。
例えば、リスクの大きい新規事業への参入をやめるとか、赤字続きの事業をこれ以上継続しないこと等は、リスク回避です。

(3)リスク移転
リスクの発生確率は小さいが、顕在化した場合の影響が大きく、対策をかけたら莫大な費用がかかるものや自組織では対策方法がないような場合に採られる対策です。
要するに、他者とそのリスクを共有又は他者へリスクを移すことです。
例えば、事務所の火災保険に加入するとか、新規事業の資金調達での銀行の共同融資等は、リスク移転です。

(4)リスク低減
一般に、リスク対策と呼ばれるもので、リスク対策のメインになるものです。
リスクの発生確率が比較的多く、顕在化した場合の影響も比較的大きいもので、自組織のみで対策が採れるものです。
要するに、リスクを小さくすることです。
例えば、労災事故を防止するための安全設備の追加投資とか、品質不良を減らすために組織を見直し多重チェック体制を構築するとか、ヒューマンエラーの防止を目的とした教育訓練の実施等は、リスク低減です。

ISO31000では、リスク低減の中身が次の4つに細分化されています。
①ある機会を追求するためにリスクを取る又は増加させる。
②リスク源を除去する。
③起こりやすさを変える。
④結果を変える。
リスク低減の方法で主になるのは、②リスク源除去、③発注確率の低減、④影響の低減だと思います。
①リスクテイクは、少し例外扱いになると思います。
リスク低減では、②、③、④を個別に検討するのではなく、②の有効な方法が見当たらないので③、④を中心に検討したり、②、③、④を複数組み合わせて検討することも考えられます。
また、リスク低減策は、リスクが0になりませんので必ず残留リスクが残ります。
その残留リスクのレベルが許容範囲なのかどうかを判断する必要かあり、許容できない場合は新たなリスク対策を検討することになります。

さらに付け加えると、あるリスク対策を実施することで、二次的リスクが発生することがあります。
その二次的リスクについては、新たなリスクとして対応するのではなく、もともとのリスク対策の中で、対策の延長として検討し、色んな対策を包括的に実施することが重要となります。

皆さまも、リスク対策(対応)について勉強してみてはいかがでしょうか?
リスク対策が実施できるようになれば、より安全で効率的な活動ができるようになります!





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