大学生活最後の春休み。


僕は実家に帰ることもせず、
かと言ってどこかに旅行に行くわけでもなく

普段通りの当たり前の日々を過ごしていた。


昼は就職活動のため大学に。
夜は居酒屋でアルバイトを。


今日も朝起きて大学へ向かう。

誰もいない図書館でエントリーシートと睨めっこ。


「◯◯くん!」

不意に後ろから僕の名前が呼ばれる。


振り返らなくて声でわかる。

入学式のあの日から、片想いしてきたあの子。


その日、二人でたくさんの話しをした。


昔のこと

 今のこと

それから、これからのこと。




気がつけばアルバイトに行く時間になっていた。


結局、エントリーシートは一文字も埋まらなかった。

それでも、僕の心は晴れやかだった。



あの子が口にした就職希望の企業は偶然にも僕と同じだった。


この先も、あの子と一緒に居られることを祈って、僕は夕日を背に一歩踏み出した。