「大丈夫?」







あっという間に2020年が来ていた。





今年は、例年のように

紅白やNYPなどの催事はなくて





どちらかというと久しぶりに


緩やかに年を越したのだけれど






最近はNYPをやっていたということもあって、

何か年を越したという感覚が

物足りない気分、、、









でも、時が経つのは早くて

もう少しで1月も下旬にさしかかりそう。

そうこうしているうちに

私の初のソロツアーもファイナルが近づいて、





でもみんなのおかげで

ソロツアーのアフターイベントも

できることになって、




やることは絶えず

上から降ってくる





「宇野さん。お疲れ様です。

 あの、歌詞ってどうなりました。」




「あ、あと少しなんですよね。

 期限あと1週間でしたよね?」




「はい。そうなんですが。

 先方からお電話で早く終わればその方が良いから

、、と。」





ようするに、、


早く終わらせろってことかな。。。








「早めに完成できるようにしますね。すいません。」


「すみません。よろしくお願いします。」







仕事が早く終わる予定が

朝にそんな話を聞いたから

帰る気にもなれなくて

部屋を借りて歌詞を書く。





思い詰めれば思い詰めるほど

歌詞が浮かばなくて





どっかで聞いたことがあるようなフレーズが

ノートに浮かぶ。







コンコンっ




「はいっ」


「失礼します」


「あ、お疲れ様です」








マネージャーが箱をかかえて

入ってくる。






「これ、先日のLIVEでいただいた

 宇野さんへのお手紙とかギフトです。

 何か参考になればと思いまして」




「あ、ありがとう」






驚いたものの、マネージャーからの支援に感謝する。






マネージャーが部屋を出てってから、

箱を開けて一つ一つその場で口に出して返答しちゃったりしつつ、読んでいく。





「ふふっ。みんな優しいな」






いろんな言葉が綴られている

その文字に





笑みが止まらなくなる

こんな私にたくさんの愛をくれる。





ありがとう。





そう心でつぶやく。






携帯にきた通知にふと気づき

SNSを開いてみんなに感謝を伝えたいなと





そんな気軽な気持ちで

ありがとうと電波に乗せてみんなに伝える。





みんなからの反応を楽しく見つめるけど

その中には、

受け止めきれない言葉も来る





もうこの業界に入って慣れてきたけれど


それでも、やっぱり心に刺さるな


なんてすこし笑ってみる。






すこし、休憩をしよう。

スマホを置いて

コーヒーでも飲もうと部屋を出る






「おつかれ」






すこし口角を上げた君が

すこし遠くから歩いてくる






「お疲れ様。にっしーもいたのね」


「打ち合わせとねいろいろ」


「そっか、お疲れ様」






何気なく廊下で話す

立ち止まるわけではなく歩きながら





すれ違う





ちょうど横に君がきた時




もう会話は終わっていたのに




何もいってないのに





ちゃんと笑ったのに







「大丈夫?って聞いてもだめだな。

 あと話聞くから終わったら連絡して」





すれ違う瞬間に腕を掴んで


顔を覗き込む君





「ありがとう」






肯定してはいけなかったのだろうけど

自分が思っている以上に






キャパオーバーだったみたいだ。






「じゃあ、またあとで」






そういって離れていく君





君が話を聞いてくれるなら

もう少し頑張ろう







そして君の話も聞こう

悩みも夢も








ただ一つ

君に言いたいけど言えないんだよ







こんな風にいってくれる君を手放せないから












あまり優しくしないで、勘違いしちゃうよ








「大丈夫?」