腎蔵とは何か?

 多くの教科書では、腎臓は「尿をつくる臓器」と紹介されています。

 しかし、これは腎臓の様々な働きのうちの一面だけしかとらえて

 いません。

 腎臓は、体の中の「必要なもの」と「不必要なもの」を仕分けして

 血液や体液の成分バランスを調整しています。

 腎臓に集まってきた血液をろ過しながら、「必要なもの」は再吸収

 し、「不要なもの」はそのまま尿中に排出して、体内環境を一定に

 保っているのです。言わば、血液をはじめとした人体内の体液成分

 を常に一定に保つ「管理人」のような仕事を一手に請け負って

 いるわけです。

 

 その他にもこの腎臓という管理人は、血圧を調整したり、ビタミン

 Dを活性化させたり、造血ホルモンを分泌したりといった仕事を

 骨、肝臓、肺、心臓などの各臓器とネットワークを構築し、逐一

 連絡を取り合いながら行っているのです。

 

 この臓器間ネットワークがどういうものかというと、例えば、腎臓で

 つくられる造血ホルモンのエリスロポエチンは、分泌されるとすぐに

 骨にメッセージが届き、その連絡が骨に入ると骨髄のおいて赤血球が

 増産される仕組みになっています。つまり、、ホルモンを伝達役と

 して腎臓が骨に対しどれぐらい血球を作ればいいかの連絡指示を

 出しているわけです。なお、腎臓は血液中の中の「必要な成分」と

 「不必要な成分」を仕分けする際にも、来れろ同じように各臓器と

 密に連絡を取りあうことにより、回収すべき成分の量や捨てるべき

 成分の量を判断しているのではないかと考えられています。

 つまり、体の中の関係各局と連絡を取り、何がどれだけ必要で、

 何がどれくらい処分していいか即座に決めて仕分けしていく

 総合的な、”体内物流管理システム”を構築しているのです。

 

 そして、このような腎臓のネットワークシステムがしっかり働いて

 いるおかげで、私たちはいつも体内環境を一定にたもって、いつもの

 通りの活動を営むことができているのです。

 皆さん、腎臓が単に「おしっこを作っている臓器」ではなく、

 人間が生きるのに欠かせない働きをしているということがお分かり

 いただけたでしょうか。