食べない人々

 

これまで見てきたように、草食哺乳類は、摂取した食料にふくまれる

カロリーと栄養素以上のも

のを、消化管内の共生細菌から得ていきて

いる。

だから、完全装飾で生きようとすれば、セルロース分解菌との共生

が絶対に必要であるし、それに特化した消化管も必要だ。

人類の消化管では完全草食は不可能だ。

 

しかし、食の問題について資料を調べていくと、どうしても

【それほど食べていないのに、普通に生活している】人がいるという

事実のぶつかるのだ。

 

たとえば『食べることやめなした』(マキノ出版)の著者の森美智代

さんは、「1日に青汁をどんぶり1杯だけ」という食生活で、13年以上

も健康で暮らしていらっしゃるし、

『ほとんど食べずに生きる人』(三五館)の著者の柴田年彦さんも

1日500キロカロリーの摂取のみで1年間、健康を維持してきたこと

をルポしている。

 

同様に、比叡山延暦寺の千日回峰行も栄養学的には自殺行為としか

思えないのだ。

千日回峰行とは、「1千日にわたり、食事はそばかうどん1杯、ゴマ

豆腐半丁、ジャガイモの塩蒸し2個を1日2回食べるのみ。

1日30~80kmを走破し、700日以後に9日間の断食、断水、

断眠を行う」というすさまじい荒行である。

(これは平安時代の僧の相応は始めたとされるが1100年間で

達成者はわずか47名(うち3名は2回達成)という至難の修業

である。

 

科学的に考えると、これらの人々は絶対に死んでいるはずだし、

生きていたとしても、骨と皮の寝たきり状態になってもらわないと、

栄養学の専門化が困る。千日回峰行は毎日、フルマラソンの全コース

を走破しているようなものだが、フルマラソンで4時間で完走する

だけで2400キロカロリーが消化されるのだ。ましてや、1日

80㎞を踏破するとなると、必要カロリー数h2400キロカロリー

どころではないはずだ。

 

千日回峰行を行う層の運動量の消化カロリーと、初期時から得られる

カロリーを計算すると、500~600日で体重がゼロになってもらわね

ば困るし、そうでなければ生理学が崩壊してしまう。

 

〇これはごく少数の特異例にたまたま起きた例外的奇跡である。

〇人が見ていないところで本当は食べているんじゃないの?

〇これは超能力と同じで、手品、トリックのたぐいに決まっている。

 

だが、これまでに説明してきた知識を駆使すると、不可能でもインチキ

でもない可能性が浮かび上がってくる。

 

肉食獣パンダがタケを食べた日

人間が青汁だけ、あるいは極端な低栄養状態で生きているという現状

を考える手がかりてして、肉食哺乳類が草食哺乳類に変化した例を

取り上げてみよう。

それが、 パンダだ。

パンダがもともとは肉食だったことは、腸管の構造からほぼ確実視

されている。しかし、何らかの原因で、本来の生息地を追われて高緯度

地域に移動し(人類の先祖がパンダオン来の生息地に侵入して、パンダ

を追い出したという説が有力)そこでタケやササという新たな食料に

適応されたとされている。高緯度地域にはえさとなる動物が少ない

ため、動物以外の物を食物にするしかなかったからだ。

 

しかし、ほかの哺乳類同様、パンダはタケ(=セルロース)を分解する

酵素をもって持っていないため、以前から「タケを消化することができない

のになぜ、、タケだけ食べて生きているのか」は長らく謎とされていた。

その謎が解明されたのhがここ数年だ。パンダの蝶か管内から、他の草食

動物の腸管内に生息しているのと同じセルロース分解菌が発見され、タケ

食で生きていけるメカニズムが解明されたのだ。

 

ちなみにmパンダの腸管内の細菌のうち、13種は、すでに知られているセル

ロース分解細菌であるが7種はパンダに特有の細菌と報告されている。

しかし、本来肉食である動物が、タケのみを食べる生活に簡単に切り替え

られるのだろうか。しかしこの地域には、これまでのパンダがえさとしていた

ような動物は少なく、肉食を続けることは不可能だった。何日も絶食状態が

続いたパンダはそこで、生えているタケやササを口にしただろう。

もちろん、パンダはセルロースを分解できるわけでなく、タケをいくら食べても

栄養にはならない。だが、その地に草食動物がいる限り、セルロース分解菌は

必ず存在する。草食動物の消化管内にいる常在菌(=セルロース分解菌)で

排泄物と一緒に外に出てしまった細菌だ。これらに最近は、当然、タケの表面

にもついていて、パンダはタケとともに、これらの細菌も摂取する。

 

そのうちの大部分の細菌は、胃酸で消化されてしまうが、一部の菌は生きたまま

タケの破片とともにパンダの大腸に運ばれる。

ここで、パンダの大腸に到達したセルロース分解菌の身になってみよう。

細菌は、オンダや酸素濃度などが、生息条件から大きく外れていなければ、水と

微量な栄養分で生存・増殖できる生物である。

つまり、セルロース分解菌の側からみると、パンダの大腸も、その他の草食動物

の大腸も、環境的には違いはわずかだ。それこそ、タケの葉の表面に比べたら

「住み慣れた環境」といってもいいくらいだ。あとはパンダがタケやササをいえよう。

食べてくれるのを待つだけだ。

パンダの腸管では極限状態なので最近は少ないはずだ。競合細菌が少なければ

ここにコロニーをつくるチャンスが生まれる。常在菌は生きられる可能性がある

いえよう。

 

 

の全コース

をそうは