炭水化物は必須栄養素なのか
現在の栄養学の教科書を見ると「糖質(炭水化物)、たんぱく質、脂質が
三大栄養素」であり、「生活習慣病を予防するには、脂質の比率を25~30%
以下に抑えるべき」「炭水化物は60%前後と、最も多く必要」「炭水化物:
タンパク質:脂質の比率は3:1:1が望ましい」というように書かれている。
このような記述は、どの栄養学にも必ず書かれているので、栄養学という学問
のいわばセントラル・ドグマであり、これを土台にして栄養学という学問体系
が作られていることが分かる。
また、栄養学の教科書のこのような記述からは、三大栄養素の中でもっとも
重要視されているのは、たんぱく質でも脂質でもない。炭水化物である。
しかし、糖質制限の存在を知り、それを自分の体で実践するにつれ、
この【三大栄養素】の概念がそもそも間違っているのではないか、言う疑問が
湧いてくる。
糖質制限をしてみるとわかるが、糖質を摂取しなくても人間は普通に生活
できるし、それどころか、肥満も糖尿病も高血圧も高脂血症も治ってしまい
スタミナはつくし、どんどん健康になっていくのだ。
少なくとも私が知る限り、糖質制限に切り替えた健康人で不健康になった
人は一人もいないはずだ。
これは生物学的にも証明できる。
人間の生存に欠くことのできない必須脂肪酸と必須アミノ酸に関しては、食事
で外部から取り入れるしか方法はないが、炭水化物に関しては、アミノ酸を材料
にブドウ糖を合成する「糖新生」というシステムが人間には備わっていて、
タンパク質さえあれば自分で作り出せるからだ。
要するに、必須脂肪酸や必須アミノ酸のように「人間が体内で生合成できないから
いやでも外部から取り込むしかない」という意味での、「必須炭水化物」は存在
しないのである。
つまり、「必須栄養素としての炭水化物」を大前提に理論体系が組み立てられてい
る栄養学という学問体系自体が、砂上の楼閣なのである。
大昔に提唱された理論を疑いもせずに妄信し、それがあたかも自明の理か神の
予言であるかのように崇め奉っている方が、学問のあり方をゆがめている感は
するのだ。