ACのCMを知っているだろうか?指先だけしか動かないALSの患者が仕事をする、その仕事をした代償で母親にケーキを買う、と言ったストーリー展開。


病状が進むと、歩くことも喋ることもできなくなる。やがて自分で呼吸できなくなる。その時に人工呼吸器をつけるか、つけないか?を決める。


「なんて過酷な人生なんだ!神も仏もないものか」と思っていた。


僕の行っているデイケアにALSの患者がリハビリにやって来た。


その人が言うには、


「去年なんかおかしいなぁ」と医者の診断を受けた。検査の結果、ALSだ、と告知された。死に直面したその時の心情を聞きたかったが、デリケートな話題なので、話を変えた。


彼は、ひととき喋って「さぁ、タバコを吸いに行こうか」と席を立った。


大きな窓を開け、ベランダに立つ。レースのカーテンが風で揺れる。夏空が広がっている。


その後ろ姿を見ながら、隣にいる知人と話した。「好きな事をやったらいい。何でもかんでもダメと言うのは精神衛生上、悪い。それでいいんじゃない」



フッと90歳の老人を思い出した。重い糖尿病でインシュリンを打っている。それに安堵したのか「死に支度を始めようか!」と美味そうに羊羹を食っている。



また、こんな奴もいる。糖尿病で目の毛細血管が切れて、失明をした。それでも「酒はやめれん」と今も飲んでいる。


「わかっちゃいるけど、止められない」。命をなくしても健康を害しても止められないものがある、と知った。