21:40分

高3生たちを集めての指導が始まった。生徒のレベルを知るため、昨年使用した教材を試しに教えた。市大に合格したユウスケや関大のユウヤがあの程度だったから・・・同志社に行ったミユキとかサチコと比べるなら・・と能力をはかった。


授業が終わった23時、「悪くない」と感じた。 どこまで伸びるかは?分からないが、「もうこれ以上、勉強できません」「先生の顔は、もう見たくありません」というまで絞ってやろう、と思った。


何にも増して、生徒たちは学ぶことに対して素直で、人の助言を聞く耳を持つ。


心を揺さぶろうと、授業の終わりに、


先輩たちが見せた涙と努力を話した。


「先生、いつも眠い。早くこの重圧から解放されたい」と疲れはてた顔でいつも不満を漏らしていたリオ。


いくらやっても結果が出ずに、12月の全統までDからE判定をいったりきたりだったオオハシは、浪人が許されない家庭環境の中、最後まで心を折ることなくやり抜いた。最後は笑顔が消え、悲壮感が漂ったが、早春の午後、国立大学合格の知らせを持って教室に飛び込んできた。



昨年のキムラやゴトウもそうだった。毎日23時まで机にしがみつき、問題集に取り組んだ。うち来るまでろくに勉強をしたことのなかった奴らだ。その重い扉を開くまで、どれだけ大変だったろうか?



アヤノ、ユウコ、サユリ、何人の生徒がつらいと涙をこぼしたことだろう。



意志あるところに 道は開ける。 狭き門より入れ と生徒たちを鼓舞した。




僕の思いを時間をかけて熱く語っていると、


気が付けば、23時30分を回っていた。



生徒たちは、「何もかも投げ打って、この一年を受験勉強に捧げる」と僕に約束し帰って行った。


僕にとっても、大変で気の滅入る日々が帰ってくるが、どう鍛えてやろう?というワクワクする気持ちも混在する。


それにしても、ちょっと長く話しすぎた。生徒はうんざりしなかったかな?


生徒の心にクサビを打ちこめたかな?と思いながら、教室のドアに鍵を下ろした。