朝食を取る喫茶店で、スポーツ新聞、一般紙を読んだ後、オレンジページに手を伸ばした。美味そうな料理の写真が並ぶ。
今でこそ、外食が中心の生活を送っているが、海外の大学の寮で生活を送っていた当時、僕は料理に、はまっていた。
週末のシドニーでは、あちこちでパーティーが行われ、近隣のマンションから、華やかな音楽と笑い声が聞こえた。僕の住む大学寮でも、大音量で音楽を流しドンチャン騒ぎが展開された。話す声さえ聞き取れないほどの部屋の中での会話は、ノンネイティブの僕にとって、苦痛以外の何物でもなかった。
そこで僕は、日本人の友人や静かに会話を楽しめるネイティブたちを部屋に招き、パーティーを時折、開催した。
僕の住む寮では、一区画に4人が住む部屋の中心部に、共用の15畳ほどのリビングとキッチンがあった。そこで僕は料理の腕を披露した。手の込んだ物は作れなかったが、ビールのつまみに、アボカド・ディップ、フィッシュ&チップス、メイン料理に、山芋たっぷりのお好み焼きや、ふわふわ卵のオムライス、キーマカレー、ポークチャップ、メキシコ人に習った豆料理などもふるまった。
おおむね僕の料理は好評で「次はいつ開くのだ?」と催促された。それから熱を入れて料理を作るようになり、周りの寮生たちに試食させた。料理を作ったのは、その数年だけだったが、僕は今でも、講師やマツモト教室長に「腕に自信があるから広い部屋に引っ越した際には、手料理をご馳走する」とふれている。
さて、僕が7畳1Kの部屋から引っ越す日はいつになるのだろう? 料理本を眺めながら、その日を楽しみに待つことにしよう。
そしてまた、僕の書棚には、熱帯魚、建築、料理の本といった具合に、コレクションが増えてゆくことになった。