リュウのお話はいったんここで区切ります。

話の流れ上今後また登場することはありますが、

今日からは時系列順で、リュウと別れてからのお話です。

 

 

 

  ななこ

 

クラスに一人だけ、

苦手な女子がいた。

 

驚くほどに人に恵まれた高校生生活の中で、

たった一人だけ、ずっと好きになれない相手だった。

 

表面上はそれなりに付き合っていたけれど、

でもずっとずっと、最後まで好きじゃなかった。

 

 

身長が小さくて、

肉付きが良くて、

すごいお胸が大きくて(笑)

黒髪のスーパーストレートロング。

日本人形のようにきれいな顔立ち。

声がどこかのお嬢様のように上品で。

けど丁寧な言葉遣いなのにどこかえげつないことを言う

「ななこ」

 

 

初めは割と仲が良かったのだ。

中学時代にうまくいかなかった女子関係にトラウマを持っていた私は、

女子に対する嗅覚が圧倒的に鈍かった。

 

自然と集まった私たちの4人グループに、

 

「今いるグループは正直合わない子が多いから、

明日から私もこっちのグループに入れてくれないかなニコニコ?」

 

と声を掛けてきたことがきっかけで、一緒にいることが増えた。

 

その言葉に若干のに引っかかりを感じた。

間違いなく感じたのに、気づかないふりをした。

 

お昼を一緒に食べるようになってしばらく経ってから。

リカ(4人グループのうちの一人)が私に、

 

ねぇ、サクラはななこと合うの?

最近2人でよく遊んでるよね?

 

と聞いてきた。

 

ななこがグループに入ってから、

ほかの3人が微妙に距離を測ってるのはなんとなく気づいていた。

私とななこが2人でいることが増えた。

 

 

ん?まぁ普通に楽しいよ?

 

 

ふーん。

私ななこ苦手なんだよね。

前のグループにいた子の事、

バカにしてるくさくてそういうとこ好きじゃない。

 

 

確かにそれは私も引っかかってた。

 

 

まぁ、ただ素直に思った事言っちゃうタイプかもしれないし・・・。

 

 

苦笑しながら濁した。

 

 

子供じゃないから弾くとかはしたくないけど、

苦手な相手には線は引いちゃうよ。

 

 

わかってるよ(笑)

 

 

あとななこね、私の友達の男、せこい手で盗ったから、

若干確執あるんだよなー。

 

 

あー・・・汗うさぎ

 

 

ななこから聞いていた。

リカの友達の彼氏、盗ったって思われてるからもしかしてリカに嫌われてるかも~えーん

と半泣きしていた。

でもリカの友達、別にそんなかわいくもないし、字も汚いし、頭もよくないから、

私の方選ぶのはしょうがないよねキョロキョロ

と・・・。

 

 

その言いざまは正直気持ちよくはなかったけど、

悪い子じゃないし・・・と誤魔化していた。

女同士で揉めるのはもう嫌だったのだ。

 

 

一応忠告しとくけど、サクラも気を付けなよキョロキョロ

男はななこに弱いよ。

そんで多分相当タチ悪いよ。

 

 

近くにいたサナまでが珍しく口を出した。

 

 

サクラ、ななこはヤバいって。

私も線引いといたほうがいいと思うよ。

 

 

なのに私は線を引かなかった。

 

ななこへの違和感をごまかし続けていた私は、

「かわいそう」だとも思っていたのだ。

孤立していたななこが昔の自分のように思えたのかもしれない。

「かわいそう」だと思ってる時点で、

自分の方が立ち位置が上だと思っている傲慢さに、

この頃の私はまだ、気づいていない。

 

リカとサナの忠告は完全に的を得ていた。

 

 

ななこは一見完全に上品なお嬢様だったドレス

 

CDや香水、アクセサリーや化粧品を、

次々に私にもういらないから、とくれた。

新品のものも少なくなかった。

もらったけどいらないからあげる、と。

 

ななこの家が裕福なのは知っていたから、

贅沢だなぁと思っていた。

 

 

そしてとにかく「サクラと同じ」を求めた。

同じ行動。

お揃いの髪型。

お揃いのベスト。

お揃いのケータイに、

お揃いのストラップ。

かっこいいと思う人もいつも同じ。

 

「仲良し」をアピールしたい、と彼女はよく言った。

 

お揃いにされる事に腹は立たない。

(そう言えば速水さんと似てるなぁ)

それは昔から今も変わらない。

ただ、行動がすべて同じは少し重かった。

 

ななこが来る前の自然と集まった私たち元々の4人グループは、

仲は良かったけれど、

各々それぞれ独立はしてた。

 

いつもいつもいっしょでもなく、

時と場合によっては違う行動をとる。

相手も変わる。

 

 

けどそれをお互い尊重しあえる間柄だった。

だから今でもこの4人の関係は続いている。

 

 

 

初めて”それ”を目撃した時は、

無言になり、目を剥いた目

私はそれを止められなかったショボーン

 

 

ななこはまるで息を吐くかのように物を盗んだ。

バッグに入るありとあらゆるものを。

 

店を出て、一人暮らししているななこの部屋で、

カバンの中を見たとき、

その数に驚きすぎて言葉が出なかった。

 

 

止められなかったから、

一緒に出掛けるのが嫌になった。

ななことは学校でいるので精いっぱいだった。

 

 

少し心の距離が出来た頃、

ななこに彼氏ができた。

 

 

私が憧れていた先輩だった。

 

い・・・いつの間にびっくりガーン?!

 

別にいい。

好きだったわけじゃないから別に問題ない。

けど、付き合う前に教えてくれてもよかったんじゃ・・・びっくり

 

びっくりしたけど、よかったね。

 

と声を掛ける私にななこは微笑んだ。

 

そう言ってくれて安心した。

もしかしてサクラ、好きだった?

だったらごめんね?

 

 

好きまでは思ってなかったけど、

私がかっこいいって言ってた時、

全然興味なさそうだったから驚いた。

 

 

それが私もいつの間にか好きになっちゃって。

どうしても諦められなくて・・・。

 

 

どうしても諦められないという割に、

二人はすぐに別れた。

 

 

そんなことが数回続いた。

 

そしてついに結構本気で付き合いたいと思っている相手も

サラリと奪われてしまった。

 

丁度、いい感じになっていて、

もうすぐ付き合えそうだなと思っていた相手。

リュウと別れてから初めて、

ちゃんと付き合いたいと思えた相手だった。

 

 

ななこにも相談はもちろんしていた。