特徴のある声で、すぐに誰かわかった。

 

か・・・金谷笑い泣き!!!

 

生活指導を兼ねている金谷は、

学内外の見回りも仕事の一つだ。

 

思わず離れようと立ち上がろうとしたのに、

反対方向から負荷がかかる。

リュウが私の頭を抱えたまま、

離す様子は全くなく、

むしろ力を込められる一方だった。

 

 

――――!!!

 

 

なんなの!?

やばいやばい滝汗

 

 

そんなことを数秒足らずのうちに考えた。

 

慌てなくてもその後まもなくして、

掴まれた頭をリュウの側から突然離された。

 

後ろへ引いていた力の反動でよろけ、

倒れそうになった私の肩を、

階段の下から金谷が慌てて掴んで支えた。

 

 

っと・・・。

センセ、ありがと・・・。

 

 

あ・・・っぶないだろーが!!!

落ちたら大けがだぞ!

清田ぁ!!!

 

 

せんせーがいたから、

大丈夫だと思いまして。

 

 

リュウは平然とした顔をしていた。

 

 

それとも、

「僕の彼女を守ってくれてありがとうございます」

って言ったほうがよかったでしょうか?

 

 

滝汗?!

リュウが金谷を嫌ってたのは知っていたけれど、

あまりのキツさに驚いた。

まさかここまでとは・・・真顔

何か言いたげな金谷は、それでも言葉を飲み込んだ。

 

 

・・・こんなとこで何してんだ。

 

 

キスを目撃された気まずさ(それも相当濃度の高いやつ)に、

バツが悪くて私は黙った。

 

 

何って、

ご覧になった通りですけど?

敢えて言葉にしますか?

 

 

挑発的なリュウに、

私はヒヤリとした。

 

 

リュウがいくら金谷を嫌いでも、

こればかりはうちらが悪いえーん

悪いって言うか、ほんとに悪いとは思ってないけれど、

金谷が教師として怒るのはごく当たり前のことだタラー

 

 

リュウ。

 

 

軽くリュウを咎めた私に向って、

小さくため息をついた金谷は、

 

 

清田と本気で付き合ってんのか。

 

 

と私に聞いた。

 

 

うん、と答えようと口を開いた途端、

リュウが、

 

 

プライベートな質問に、

答える必要ありますか?

 

 

先ほどより更に冷たく言い放った。

 

 

清田・・・。

いつも言ってる通り・・・。

 

 

”ここ”でそんな話、

しないでください。

 

 

妙に強く「ここ」にアクセントを置くと、

清田は金谷に強い目つきで見据えた。

 

 

金谷は頭をぐしゃっと触ると、

 

 

あ――――・・・

んっとにもー・・・。

どうしようもねぇな・・・。

「桜井の前」でこの話したくないんなら、

俺の言ってることをちゃんとよく考えろ。

 

 

 

どれだけ考えても同じです。

何も変わりませんよ。

 

 

じゃあ言葉を尽くして俺を納得させろ。

今の清田はただの反抗期の子供だよ。

 

 

そう言うと金谷は踵を返し、

階段を降りていった。

 

怒涛の展開に私一人が置いていかれ、

唖然とした。

 

 

何の話・・・?

 

 

サクラは気にせんでいい。

 

 

・・・気になるよ。

 

 

それより・・・。

いーとこ、邪魔されたなぁ。

 

 

いいところって・・・。

 

 

「次」の続き、する?

 

 

そう言ってリュウは私の腕をまた引き寄せた。

このままじゃまた誤魔化されるだけだ。

阻止したくて、

 

 

なんで金谷が来たってわかったのに、

無理にあんなことするの?

まるで見せつけるように。

 

 

強くリュウに迫った。

 

 

あんな事?

 

 

したじゃない。

 

 

だから、何を?

ちゃんと言葉にしてくれんとわからん。

 

 

意地悪なリュウの口調で、

揶揄われているのが分かった。

 

 

・・・キス。

 

 

いつもしてんじゃん。

 

 

金谷が来たのを見計らってわざとしたじゃん!

 

 

してたら向こうが勝手に来ただけやろ。

 

 

違う!

足音も聞こえてたし、気配もした。

それにいつもより・・・。

 

 

いつもより?

 

 

いつもより・・・。

 

 

いつもより、なに?

 

 

濃度が全然違う深いキスだった。

そんな言葉は言えず、

黙るしかない。

 

 

濃かった?

 

 

ニヤッとしながら持ってた私の手首をグッと引くと、

自分の前に私を引き寄せた。

 

 

座って。

 

 

言われるままにリュウの前にしゃがむと、

ギュッと柔らかく抱き寄せられた。