「暑いのでお気をつけて。いってらっしゃいませ」

 

とある飲食店の店員さんに言われた。その振る舞いはとてもあたたかみのあるもので、接客という枠を超えていた。少なくとも、店員としてではなく個人としてのその方の人間性が現れているように感じられた。そのお店はチェーン店ではなく個人店で、その方も“個人”としてそこに居たのかもしれない。個人としてのその方のありようがそのまま体現されているような対応だった。

 

その方の振る舞いがとても印象的で、人間味があって、好感の持てるものだった。

自分もそれをしたい、誰かの心に寄り添えるような一言が言いたい。そう思った。

 

でも、普段はそんなことは言えない。身近な人にそんな対応はできない。

言葉としては言える「暑いよー熱中症にならないように気をつけてねー、いってらっしゃいー」

 

何かが違うのである・・

 

おそらく相手との距離感、そこに伴う敬意みたいなものだと思う。

もしかしたら、それくらいの距離感の方が自分は心地いいのかもしれない。

 

同時に、仕事というお膳立てがあるからこそ、言えることなのかもしれないなとも思った。

(今日その方には、仕事としてといった空気感は感じなかったのではあるが)

仕事を通してだからこそ、伝えられている何かってある気がする。挨拶やお礼ひとつとってもそう。

仕事って、役割というベールを纏える分、なにか普段とは違った自分を出せる機会を持っているのかもしれない。