その女性のお客様はハタチ過ぎのアルバイトさん。
彼氏さんと呼んで良いのか、これからの付き合い次第で彼氏さんになるのか、という微妙な関係(笑)の男性と一緒にお部屋探しに見えました。

ご希望の条件を伺うと、何よりも初期費用を低く抑えたいとのコトでしたので、いわゆるゼロゼロ(敷金ゼロ、礼金ゼロの)物件を中心にご案内。

幸い(?)その方は1階でも抵抗はなく、それよりも家賃が安いコトの方が優先だったので、専有面積は小さめながらもセキュリティのしっかりした分譲賃貸マンションの1階で、割安感のある賃料で募集に出ていた物件をご案内し、おかげ様でお申込みを頂けることになりました。

さて、申込みには当然のことながら申込書の記入が必要になるので、物件現地から当社に戻り、いざ申込書の記入をし始めて頂いたところ…

途中まで明るい表情で記入をされていたその方が、連帯保証人の欄にさしかかった時に、記入するその手を止め、やや思い詰めたような顔でこう言いました。

「あの…、連帯保証人には確認の連絡とかって、するんですか…?」

その、探るような聞き方と、ご希望条件の中で金額に関するものが多かったコトとを考え合わせ、ピンときました。

ご両親に反対されているの?

その予想は的中し、実は今回の引越しに関してご両親は大反対。
現在の住まいは学生時代から一人暮らしをしているアパートで、ご両親からは実家に戻ってくるよう催促されている状況とのコト。
なので、もし確認の連絡が言ってしまうようであれば、連帯保証人がいらない保証会社の利用も考えている、と…。

すると、そんな話を伺っているトコロへお連れの男性がヒトコト。

「オレが保証人じゃダメなんスカ?」

え~~~と…。
気持ちは分からなくもないんですよ、その、男としての気概を見せたいってゆう…。

ですが、連帯保証人になるというのはそんな簡単な話じゃありません。
契約が終了するまでの間の連帯保証人というコトになる訳ですから、それは例えばこの先お二人の関係がオカシクなったとしても保証し続けなければならないというコト。

それ故に、連帯保証人は原則として「切っても切れない関係」である血縁者とされるコトが多い訳で、それをご友人くらいの関係で、しかも同じくらいの年齢の方から引き受けると申し出られても、何と言いますか、あまり歓迎出来ないんですよね…。

って、そんなことよりも。

問題は、彼女が両親に反対されている状況の中、その反対の理由に向き合わないまま安易に部屋を借りようとしている点であり、また、オトコ(←って言葉悪いね)もまるで親なんか関係ないじゃん!と言わんばかりに、親に黙っての引越しを後押ししようとしている点でもあり…。

もちろんそんな事情に一切首を突っ込まず、本人が希望するように手っ取り早く保証会社利用にして申込みを確保してしまう業者もいるのでしょうが、…残念ながら出来ないんですよね、ワタクシ的に。

なので。
最終的にはご自身が判断することであり、不動産業者が口を挟むコトではないかも知れませんが、と前置きした上で。

もし、親の反対を押し切って黙って引越しをしたとなれば、その事実は後々ずっと大きなワダカマリとして残ってしまうかも知れませんが、本当にそれでも良いんですか?

今は自分を理解してくれない親のように映るかも知れませんが、反対するには理由があるハズで、それはきっとアナタの事を大切に想っているからこそでしょうから、今ここで申込みをする前にもう一度ちゃんと話し合ってみては?

そう話したのは、ご本人にも若干の後ろめたさや迷いがあるように感じたからであり、また、もしかしたらお連れの男性の影響ゆえの勢い余っての行動ではないか、との心配もあったから。

まあ、余計なお世話ではありますが、ともかく親を裏切ってまでする引越しが良い結果をもたらすようには思えませんでしたし、何よりそんな契約のお手伝いをすることが気分の良い仕事とは思えなかったコトもあって、その日は申込みを保留とさせて頂き、ご両親との話し合いの結果をお待ちすることにして、お帰り頂きました。

そしてご連絡を待つこと2日が過ぎ…。

頂いたご連絡は、保証人とは別の件で都合が付かなくなり、申込みをキャンセルしたいとのお申し出でした。

メールでのご連絡でしたので詳細や経緯を伺うことも出来ず、私の思いを汲んで頂いたからなのか、もしくはそんな面倒なコトを言わない別の業者で部屋を見つけたからなのか、今となってはその真相を知る由もありません。

結果として契約を一件逃したことにはなりましたが、それでも、良いんです。

何が何でも申込みをさせようとする強引な業者ばかりと思われガチなこの不動産業界ですが、そうじゃなく、良心に恥じない仕事を是とする業者も沢山いるという一例になれるなら、それで良いと。

その方の今回の選択が後悔のない最良の選択であってくれれば、それで良いと。