『天才の名を欲しいままにするメッシは、鉄鋼工場で働く父と家政婦の母のもとに産まれた。出身地はアルゼンチンで3番目に人口の多い都市・ロサリオ。11歳のときに「成長ホルモン欠乏症」と診断され、一時期は「サッカーができなくなるかもしれない」危機にあった。なにしろ、毎日足に痛みを伴う注射をする必要があり、治療代は1ヵ月で1000ドルにもなった。身長は150cmにすら達していなかったという。』

 

『現在、メッシの身長は169cmだ。治療当時の150cmよりも背は伸びたものの、不利であることは想像に難くない。例えば、2018年のW杯でのアルゼンチン代表の平均身長は178.9cm、日本は178.8cm、ドイツは185.8cmだ。小柄の部類であることがよくわかる。しかし、それが「メッシにとって」デメリットかというと、全く違うようだ』

 

『「メッシを研究してわかったことがある。走行距離は全選手中最低で、スプリントの数も最低だった。ボールに絡む回数も一番少ない。しかし、メッシは、実に効率がいい。ボールを追ってないように見えるが、彼の存在がボールの行方に影響を与えている。ゴールへの道筋が見えたら、はじめてボールを受ける。(中略)背が小さいと、重心が低くなり、ボールを奪われにくくなる』

 

『つまり、体力のなさを効率的な動きでカバーし、背が小さいという本来であれば欠点にもなりそうな身体的特徴によって、重心の低いドリブルを実現している。
また、小柄であることが驚異的なステップ数を生み出していることも判明した。ボールが足にくっついているようだ、としばしば形容されるメッシのボールキープ力の源泉は、相手の3倍もの細かいステップにある。』

 

体格のいいことが、必ずしも名プレーヤーの条件ではないということのようです。

大きなハンディを克服し、さらにそれをベースにして飛躍する。

生半可な努力や研究では不可能でしょう。

それを可能にしたメッシの偉大さに感動しました。