『ウクライナの戦場に近い国立シードバンク(種子銀行)の地下貯蔵庫で、約2000種に及ぶ穀物の遺伝子コードが永久に損なわれる危機に瀕している。その危険性が注目されたのは今月、近くの研究施設の損傷がきっかけだった。シードバンクと研究施設は、ともにロシア軍の集中爆撃にさらされるウクライナ北東部の都市ハリコフにある。』
『ウクライナのシードバンクは世界10位の規模だが、貯蔵されている種子のうち、遺伝子コードがバックアップされているのはわずか4%。危機一髪の状態だ。
クロップ・トラストの執行ディレクター、ステファン・シュミッツ氏はロイターに対し「シードバンクは人類にとって生命保険のようなもの。干ばつや新たな害虫、新たな病気、気温の上昇などに耐えられる新しい植物種を育てるための原材料になる」と説明。「ウクライナのシードバンクが破壊されたら、悲劇的な喪失になるだろう」と危機感をあらわにした。』
『ノルウェー農業・食料省の上席顧問、Grethe Helene Evjen氏は「ウクライナの農業の歴史は、先史時代にさかのぼる」と語り、同国の種子の多くは独自の種類だと付け加えた。』
種子バンクって世界に1300余り(2006年時点)あるそうですが、大きなところは限られています。絶滅危惧種が行列待ちのような現状、これからもその重要性は高まってゆくことでしょう。戦争のような愚行で貴重な種子が失われてゆくのはとても残念です。