「いま医者の数は二八万人ぐらいだと思いますが、一〇万人とか二〇万人とか、そういう数を経て現在に至ったわけです。では医者の数がいまの半分ぐらい、つまり一五万人ぐらいのときがいつごろかというと一五年前なのです。
一五年前に一五万人で、いまの約半分です。病気になって医者にかかる数もちょうど半分、がんで死ぬ人もみんな半分なのです。医者が二倍になると、がんで死ぬ人も二倍になっている。なぜなのでしょう。」
医師が増えれば、死亡率も下がりそうなものですが。不思議です。
「CTとかMRIが導入されてから、消えてしまうがんまでを発見し、その結果うなぎ登りに患者が増え、死者も増えたのです。皮肉なことに、見つければ見つけるほど死ぬ人が増えるということになっています。
見つける力は機械の力もあるけれど、機器を使って診断する医者の数ともつながっていますから、結局、医者が二倍になったら、がんで死ぬ人も確実に二倍になったのです。ではなぜ死ぬ人までが増えたのでしょうか」
安保先生の本からです。
早期発見で助かる人も少なくないと思ますが。その点どうなのでしょうか。
素人の私にはどうも判断がつきません。先生の仰りたいことはわかるのですが、全面的に頷けるかとなるとちょっと、、、。
でも一つ思うのは、先生の年齢です。
私もこの本を書かれた頃の先生のお年に段々近づいてきましたが、人生の終盤になると戦いはもういいやと思う時もあります。私の子供たちはまだ若いので、先生の人生観には共感できないと思いますが。