知人が先週、こんなことを言っていました。
「ウクライナは来週末頃に停戦になるかもしれないね」
理由を聞きましたら、特に根拠はないとのこと。でも犯罪推理って、誰が得をするかを考えるそうなので、その切り口から考えたと言ってました。
では今回、誰が得をするのでしょうか。
まずウクライナは一方的な被害者なので、損することはあっても得はしません。戦争相手のロシアでしょうか。そして大国のアメリカと中国は?地政学的なことはわかりませんので、経済面だけに絞ると、3つの大国は今回の戦争でかなりの得がありそうです。
もちろんロシアは当事国なので戦費が掛かりますし、主要銀行が国際的な金融システムである国際銀行間通信協会(SWIFT)から除外されたり、多面的な経済制裁により、ルーブルは過去最安値、国家のデフォルトも噂されるくらいですが、停戦とのバーターで制裁が留保されるかもしれませんので、その辺りはここでは考えないことにします。
ダウやナスダックの株式市場は、乱高下していますが、
ダウは今年1月4日が36,799$、3月7日が32,817$で11%減。
ナスダックは同時期で15,622$が12,830$で18%減。
(ちなみに日経平均は15.4%減)
一方、コモディティ(商品先物)市場を見ると、
金相場は、1814$が2050$(3/8)で13%高。
小麦先物は770$が1286$(3/8)で1.67倍。
WTI原油価格は、77$が126.7$で1.65倍。
天然ガスは4003$が4801$で20%高。
ちなみに
世界の産油国ランキングは、1位米国、3位ロシア、5位中国。
天然ガスは、1位米国、2位ロシア、4位中国。
金生産量は、1位中国、3位ロシア、4位米国。
小麦は、1位中国、3位ロシア、4位米国。
株式市場や外為市場、そして商品市場は、先物ならば上がっても儲かるし、下がっても儲かります。要はこれからどうなるかがわかればいいだけですから。彼らは当事者なので、いつ、どういう発表や発言をすればどっちに動くかは簡単にわかります。損するのは突然の変動に驚く他の参加者だけです。米国のメガ投資銀行の知人は、毎年のようにフェラーリとかの高級車を買い替え、頻繁にカリブ海などの超高級リゾートへ遊びに行っています。勝ち組側は、努力次第で勝てるようです。
原油や天然ガス、金、小麦などは、この3ヵ国が全てベスト5位内です。昨今のマーケット状況では笑いが止まらないでしょう。停戦になったとしても、ロシアが軍の一部をウクライナ国内に駐留させれば、その間はリスクが高いということで、商品先物市場も高値が維持されることでしょうし。
米国の軍産複合体は15年に一度くらい戦争がないと経営がすごく苦しくなるそうですが、これで武器売り上げも急増するので、一気に収益がアップします。例えばドイツも防衛予算の大幅な増額に踏み切り、2022年に連邦軍に投じる予算をほぼ2倍に増やすとのことです。地政学的に不安のある多くの国の防衛予算も間違いなくアップしますし、軍縮という言葉は死語に近くなるでしょう。世界の武器輸出額の国別ランキングは、1位米国、2位ロシアですから、こちらも凄い売り上げになるはずです。価格も売り手側の言い値でしょうし、もう滅茶苦茶です。
最高の景気対策は戦争だという人がいますが、これは巨大な軍産複合体がある国や、当事者にならなかった産油国など一部の国のことだと思います。当事者となった国は、国土が破壊されたり、国民が犠牲になったり、経済が破綻したり疲弊したりで悲惨な結果しか残らないでしょう。他の多くの国々も様々な面で負担や損失を被ります。
一部の国の利益のために、他の国が犠牲になるようなことは絶対あってはならないのですが、現実にはそう思えるケースが少なくありません。とても残念で悲しいことです。
いずれにせよ、一日も早く、平和でみんなが安心できる世界になってほしいものです。