MOZU season 1 百舌の叫ぶ夜 2 幻の翼

《 東和夫 オメラス 台詞 完全全文 》

ハート原作:ル=グウィン 作品名:風の十二方位
「オメラスから歩み去る人々」より。

ハートMOZU season1 百舌の叫ぶ夜 〆 9話



オメラスって知っているか?
ある小説に出てくる理想郷のことだ。
オメラスは、自然に恵まれ、独裁者もいなければ、身分制度もない。
誰もが、何不自由なく暮らしている、幸せな街だ。
ところが、その街のどこかに、光の届かない、固く閉ざされた地下室があった。
まるで下水道のようなその地下室に、1人の子供が、ずーっと閉じ込められている。
その子は、ろくな食べ物も与えられず、身体は汚物にまみれ、ずーっとみじめな生活を送っている。
実は、その子の存在を、オメラスね住民たちは、全員知っていた。
だが、誰も助けようとはしなかった。
なぜなら、その子を閉じ込めておくことが、理想郷が保たれる条件だったからだ。
オメラスの全ての幸せや美しい自然は、その子の犠牲の上に保たれていると、みんなが理解していた。
たった1人の子供を、地下室に閉じ込めておくことで、他の全ての人々が幸せに暮らせるならと、住民達は見て見ぬふりをしているんだ。

同じだろ?今のこの世の中とオメラスは。
国家という体制を維持する為に、くさいものに蓋をする。
そして子供を閉じ込めた地下室の門番。
それが公安なんだよ。
それが真実だ。
そうやってこの国は秩序を保っているんだ。




ハートMOZU season2 幻の翼 〆 2話

実はあの話には続きがあるんだ。
オメラスの人々は、あるタイミングで、地下室の悲惨な子供の全てを知り、その事実にショックを受ける。
だが、何千何万の人の幸福を投げ捨てていいのだろうか。
オメラスに住む人々の幸せと、地下室の子供一人の幸せを天秤にかけ、次第に事実を受け入れ、彼らの涙も乾いていく。
だが、その中には、黙りこんで塞ぎこんでしまう人間もいた。
彼ら少数派ね人々は、一人で美しい門を出でくぐって、オメラスの都の外に出ていく。
そして二度とオメラスに戻ることはない。
倉木…、門を出でオメラスを見たとき、一体何を思うと思う?
俺は分かったんだ。
理想郷をぶち壊し、偽りの秩序を乱すのが、俺の使命だってことにな。



そのにゃん


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