西武9000系 〜他形式の要素混合車両〜 | ヒロンカー鉄道ブログ

ヒロンカー鉄道ブログ

~鉄道の魅力を独自の視点から伝えていくブログです~

皆さん、こんにちは。

 

皆さんは黄色い電車と聞かれたときに何線をパッと思い浮かべますか?

 

JR西日本山陽本線(岡山地区や山口地区)、JR東日本総武線など人それぞれだと思います。

じゃあ僕は何かというと、やっぱり西武線(西武鉄道)を一番に思い浮かべますね!

僕が幼いころから慣れ親しんできた西武線、その当時はまだ101系2000系などの黄色い電車が数多く走っていました。

今でこそステンレスに青帯または青+グリーンの帯を巻いた車両が多くなっていますが、従来の黄色い電車もまだまだ活躍しています。

 

 

そのうち今回紹介する車両がこちら!!

 

西武9000系。西武池袋線系統(池袋線、狭山線)の優等列車(急行準急)を中心に活躍している通勤型車両です。写真の9104編成は2020年(令和2年)現在も運用に就いています。

 

 

…🚃西武9000系について解説🚃…

 

西武9000系は、1993年(平成5年)に登場しました。1999年(平成11年)までに10両編成8本(9101編成〜9108編成)が西武所沢車両工場(2000年(平成12年)に閉鎖)で製造されました。西武鉄道最後の"黄色い電車"であり、西武所沢車両工場で製造された最後の車両形式でもあります。

池袋線や新宿線の10両編成化による輸送力増強と既存車両の老朽化による車両置き換えを目的に登場したこの車両は、西武線に在籍する他系列の部品や技術が盛り込まれています。

 

まず、走行機器や台車、ブレーキ装置は3ドア車である西武101系の廃車発生品を再利用しています。「101系の性能は捨てがたいが3ドア車は減らしたい」という方針から、4ドアの車体だけ新製してそこに101系の台車や機器を組み込んだ形になっています。つまり101系が4ドアに生まれ変わったような車両です。

 

外観デザインは西武新2000系のものを踏襲しています。見た目だけでは新2000系と瓜二つと思う人もいるかもしれませんが、細部が多少異なっています。

 

では、どこが違うかというと…

こんな感じです。

他にも、10両編成のため新2000系にはない中間付随車(サハ)が存在すること(4号車と7号車)、車内の連結面に空調機器の作動を示す「冷」「暖」のランプが設置されていること、非常時に使われる車側灯が橙色化されていること、などが挙げられます。

また、近年検査を受けた編成から戸袋窓が仮埋め状態になっています。

 

次に9000系に乗るときは、これを参考に2000系との違いを見てみてください。こういった車両の違いを発見するのも、鉄道に乗る面白さのうちの一つですよ!

 

内装やサービス設備は西武6000系に準じています。そのため2000系にはない以下の設備が整っています。

・車椅子スペースが設置されている

・自動放送による案内がされる

・ドア上部にスクロール式案内表示機が設置してある

 

要するに「101系(走行機器等)+2000系(外観)+6000系(内装+サービス設備)=9000系」というわけです。

 

登場当初は、9101編成〜9104編成は新宿線系統(新宿線、拝島線)、9105編成〜9108編成は池袋線系統で運用されていました。しかし、1998年(平成10年)3月の池袋線と東京メトロ(当時:営団地下鉄)有楽町線との相互直通運転開始に伴い、池袋線に所属する6000系を地下鉄直通仕様車で統一させるための車両移動の際に、新宿線に所属していた9000系は順次池袋線へと転属しました。

2001年(平成13年)以降は、池袋線系統専属の車両となっています。車両不足による新宿線への貸出も見られなくなりました。

 

 

…制御機器の更新…

 

2004年(平成16年)から2007年(平成19年)にかけて、省エネルギー化の観点から制御方式を従来の抵抗制御方式からVVVFインバータ制御方式に更新されました。これにより、電力消費量や検査時のメンテナンス費用の削減が実現されています。

ただ、更新されたとはいえ、元々101系の走行機器を再利用して製造された車両のため、床下からの音は相変わらず大きいです。音がうるさいと思う人は先頭車または中間付随車に乗ることをオススメします☝

また、パンタグラフは従来の菱形からシングルアーム式に変更され、ひと編成あたり4基から3基に減っています(6号車のパンタグラフを撤去)。

 

更新を受けた編成は、省エネのステッカーが貼られていましたが、2014年(平成26年)に検査を受けた編成から順次取り外されています。

 

 

…廃車発生…

 

新型車両の40000系導入により、廃車が開始されています。2019年末(令和元年)までに4本(9101編成、9106〜9108編成)が廃車されています。

登場から20数年しか経っていないし、制御機器も更新したし、第一西武で一番古い2000系がまだ残っているじゃないか!

ではなぜ9000系を廃車にするのか。

まず、車体は新しいものの、台車や走行機器は101系の廃車発生品を再利用していて車齢が50年近く経っています。加えて優等列車で長らく使われ続けてきた故に機器等の消耗が激しくなっています。そして10両編成で且つ地下鉄直通非対応のため運用の幅が制約されてしまっています。

これらのことを考えると、9000系がこのタイミングで廃車されてしまうのは致し方ないのかなと思います。今後も40000系の増備が進めば順次廃車となることは間違いないでしょう。

 

 

… 🚃編成ギャラリー🚃 …

 

9106編成。2004年(平成16年)最初にVVVFインバータ制御改造工事を受けた編成です。2017年(平成29年)に9000系では初めて廃車となった編成で、同年11月に開催された「西武トレインフェスティバル2017in横瀬」では寄せ書きコーナーが設けられ、多くの人からお別れコメントが寄せられました。

 

9107編成は製造当初から妻面の窓が小さくなっているのが特徴です。3人掛けシートに座ると妻面窓の小ささがわかります。

2018年(平成)3月に廃車されました。

 

9105編成。全座席がバケットシート化され、7人掛けシートの中央部にはスタンションポール(握り棒)が1本設置されています。9000系の中では近代化を取り入れた唯一の編成です。出会えたらラッキー⁉️(笑

 

9102編成。9101編成が廃車になった2018年3月以降はこの編成が9000系の最若番となりました。

 

 

…🚃カラーバリエーション🚃…

 

皆さんが普段から何気なく利用している9000系ですが、実は様々なカラーバリエーションかあること(あったこと)、知ってましたか?

ホームや線路沿いから色の違う9000系を見たとき「あれ、黄色じゃない!いつもと違う塗装だね!」と驚いた人もいると思います。

 

 

それではどのようなカラーの車両がいるのか、順番に見ていきましょう。

 

RED LUCKY TRAIN(9103編成)

[運行期間]

2014年7月19日−(終了日未定)

[概要]

京浜急行電鉄で運行している「幸せの黄色い電車(KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN)」が、西武線の黄色い電車に似ているという言葉を受けたことから、京急とのコラボレーションのもと、お客さんに幸運を届けたいという想いで「幸せの赤い電車」として運行しているものです。

 

L-train(9108編成)

[運行期間]

2016年(平成28年)1月17日−2019年(平成31年)3月

[概要]

"埼玉西武ライオンズ"の球団色であるレジェンドブルーに塗り替え、ライオンズの球団ロゴラッピングを施した編成です。

運行終了後は横瀬へ廃車回送されました。

 

SEIBU KPP TRAIN(9101編成)

[運行期間]

2016年(平成28年)6月4日−9月29日

[概要]

歌手でファッションモデルのきゃりーぱみゅぱみゅの出身地が東京都西東京市(旧:田無市)であることから、彼女のメジャーデビュー5周年を記念して運行されたものです。

同年10月からはラッピングが剥がされ、ピンク一色で運行されていましたが、2018年3月に横瀬へ廃車回送されました。

ピンク一色の車両が走るのは西武鉄道のみならず、日本の大手私鉄ではおそらく初ではないでしょうか?

SEIBU KPP TRAINについては次回のブログで詳細をお話します。

 

 

以上、西武9000系について解説してきました。

残り4編成(9102編成〜9105編成)となり、小規模な数となってしまった9000系。この先少しでも長く、池袋線の輸送を支える立役者の一形式として頑張ってほしいですね。