医師への質問と回答もだいたい記載し終えたので、今回はがんになった原因についての考えについて書こうと思います。あくまで僕個人の考えなので、偏見や誤解もあろうかと思いますが参考までに。
まずは、確定診断を受けた直後から4月までの、身体についてはアレセンサのおかげで回復していっている一方、精神についてはダークサイドのときの考え方について。


肺がんになった原因は何ですか。
この問いについての医者の回答は、以前記載したように、「遺伝子変異です。何故変異したかはわかりません。」
おそらく国立がん研究センターの医者は、ヘビースモーカーが肺がんになって同じよう問いをしたとしても、全てのヘビースモーカーが肺がんになるわけではないので、おそらく「ヘビースモーカーの方は、非喫煙者と比べて○○%肺がんになる可能性が高いです」とか、「ヘビースモーカーの方は、あなたと同じ種類の肺がんになりやすいという統計があります」という回答をするだけで、明確に「あなたの肺がんの原因はタバコです」とは言わない気がします。
完全な原因と結果の相関が証明されないと、医者の立場的に言えないので、仕方ないことだと思いますが。

まとまらない文章になってしまいましたが、何を言いたいかというと、この医者の答えには救いがないということ。

医学の進歩のおかげで、
・ALKという部位の遺伝子に変異があると、EML4などある種の蛋白と融合しEML4-ALK融合蛋白が産生され、これががん細胞の増殖や正常細胞のがん化をもたらすこと。
・ALKについているチロシンキナーゼという酵素の働きをおさえリン酸化を阻害することが出来れば、増殖をうながす情報伝達系の流れを遮断し、がん細胞の増殖がおさえられることがわかったこと。
・結果として、チロシンキナーゼ阻害薬=ザーコリやアレセンサという分子標的薬が生まれたこと。
については、まさに救いというか、感謝の念しかありませんが、これはやっぱり遺伝子変異した結果で起きる事象に対する対策であって、根本的な解決にはなっていません。

肺がんになってしまった妻や家族としては、原因が知りたい。原因を知って、自分たちなりに対策をしたい。例え対策の結果、すでに発生している遺伝子変異した細胞が消えるかどうかはわからないまでも。こういう気持ちに対しては、国立がん研究センターの先生は全く無関心なので、「原因不明。生活は病気前から変えないで結構(=あなた達に出来ることはありません)」というツレナイ答え。救いがありません。

ここからはさらに妄想です(ヘビースモーカーで肺がんになられた方、ご家族の方、不快に思われたら申し訳ございません)。医者は患者さんがヘビースモーカーでも明確には喫煙が原因とは言わないと思うと書きましたが、きっと御本人やご家族は喫煙が原因だろうと考えると思います。ここには救いがある。これなら、治療によってがんを無くすことが出来れば(もしくは勢いを止めることが出来れば)、喫煙をやめて生活をすれば、なんとなく大丈夫な気がします。医者はそうは言わないと思いますが、素人考え的には。

でも、妻の場合は非喫煙でしたし、僕も非喫煙なので副流煙の心配もなく。さらに言えば、妻か保健師だったこともあり、食事もいわゆる1日30品目を目指して健康的に。アルコールも機会のみ程度。明らかにそれが原因でしょーと素人考え的に思い当たることがなかったのが、確定診断を受けた2月から4月までの考え方でした。

こういう考え方の結果として妻は、アレセンサは効いているけど、効かなくなったらどうしよう、という思考に捉われてしまい、無力感に苛まされていたように思います。

けれどもがんについて自分たちなりに勉強したことによって、今は自分たちでも出来ることがあるんじゃないかと考えられるようになりました。
次回以降は前向きになっている考え方について書いていこうと思います。