風紀
「ねぇ、今月私すごくない??18連勤とか頑張ってることない?」
帰りに店からドンキまで荷物を持って送ってくれる、田中くんとのおしゃべりが鬼出勤の私の唯一の癒し。
田中くんは今のヘルスに同じ時期に入店し、彼が主任になって私が早番のナンバー2になったのも同じ時期だった。
それからは彼が出勤管理とか送りをしてくれるようになった。
早番だから遅くても17時に終わるのに、なぜかドンキ前まで男子スタッフが送ってくれるこのシステムは相当古いし、この時間に黒スーツの人間の隣を歩くのは恥ずかしいから嫌だった。
でも半年間毎日田中くんと3分ずつ話ていると、なんとなく好意を抱くようになって、情がうつるというか・・・「ねぇ!私リアルバースデー今日なんだよね!お祝いに、あのヌイグルミとってよ!!」と無理矢理ゲーセンに寄り道させて、ぷーさんの大きなヌイグルミをプレゼントさせた。
相談て名目で出勤確認の電話の時に長く話し込むこともあった。
田中くんは寮に入ってる。
4コ上の30歳。
30歳で風俗店のボーイてのもどうかと思ったけど、好きになったんだから仕方ない。
「あのさぁ、悪いんだけど明日も女の子少ないんだよね。早朝だけでもいいから無理??」
と頼まれたら断れない。
そうだ、元々6時半から16時まで火金休みなのに、なぜか18連勤しておかしいと思ったら田中が原因か!!
「えー嫌。」
「お願い!」
「じゃ、みずほにお金いれたいから、駅まで送ってくれたら、出勤してあげる。」
そんな小さな駆け引きが喜びだった。
20歳の誕生日の前日に店を辞めると伝えた。
最後の出勤はもちろん全コマ完売させた。
最後の送りの時、田中くんに「好きだよ」て言ったら「俺もです」て言った。
一緒に住みはじめた。
20歳になったから吉原で働けると吉原勤めをする私に田中くんはあいかわらず送りをしてくれる。
私が買ってあげた車で、今度は一緒に住む家まで。