私が通っていた中高一貫校の女子校では、もちろん男子がいないので、憧れの的はボーイッシュで運動の上手な先輩達でした。


男子学生との、お付き合いはご法度な校則。


先輩に憧れる感情は少女の清らかな想いなんです。


私にも憧れの先輩がいました。

彼女は私が中学3年の時、高校2年生。

バレーボール部に所属していた先輩の姿を見るのに授業が終わると急いで帰り支度をして、仲間数名と体育館に行き遠くから見るだけです。

ボーイッシュで背が高く運動神経が抜群の先輩は私の他にも、沢山の憧れの的でした。


通っていた学校は中体連、高体連に所属はしていませんでしたから他校試合は、ありません。


せいぜい姉妹校と親善試合をするぐらいです。


運動より学業に力を入れていた学校でした。


私は憧れの先輩と話をした事はありませんでした。

見ているだけで顔がぽーっと赤らむ。話すなんて心臓が口から飛び出すくらい勇気のいる事でした。

宝塚にいる様な男役が似合いそうな先輩でした。


私が中学3年生に進学してから授業が終わり帰る時に上靴入れの中に可愛い封筒が入っていました。

中を開けると

「私のお姉さんになって下さい」

と書いてありました。


1年後輩の知らない女の子からの手紙でした。


その手紙の相手が誰か、わからないまま何日か経った昼休み一人の女の子が友達に付き添われて私の教室に訪ねて来ました。


教室の入り口で

「〇〇さん、いらっしゃいますか」

と私の同級生に聞き

聞いた同級生は

「〇〇、お客様よ」

と私を呼びました。


振り向くと、そこには背の高い育ちの良さそうな女の子が恥ずかしそうに立っていました。


「あの、、お手紙は読んで下さいましたか」

と後輩が

「あ〜、貴女が手紙をくださったの」

と私。

照れながらもニコニコした後輩が可愛らしく見えて

「私で構わないのですか」

と聞くと

「はい。是非お姉様になって下さい」

と。

きっと凄く勇気を出して私を訪ねて来たのだと思うと、その気持ちが可愛らしくて断わる理由も無く

「私で良ければ仲良くしましょう」

と答えました。


他の女子校の事はわかりませんが、私の学校では

「お姉様になって下さい」

の手紙が上靴入れに投函されるのは普通の事でした。


レズビアンではありません。

学校の話や悩み事を、お姉様に聞いてもらったり、お誕生日のプレゼントを渡したり。

そんな可愛い関係です。


産まれた時は不細工な赤ちゃんで嘘でも可愛いと言われなかった私でしたが、両親が離婚してから成長と共に私の顔付きにも変化が現れました。

一重の目が自然と二重になり、母に似たクルッとした目元になりました。


−お姉様になって下さいと言われた頃の私。夏休み海水浴に小樽市蘭島に行く列車の中での1枚−



その頃から私は周りの人達に少しずつ

「可愛いね」

と言われる様になりました。


肌の色は父に似て色白でした。少し赤い髪の色にパッチリとした二重の目元。


不細工だった私の顔が少しずつ女の子らしい顔に変わり始めました。





顔付きは変わっても内面は変わりません。

私は相変わらず無口な女学生でした。


もうヤクザの父の目を気にしない母と二人の生活でしたが生まれ持った性格なのでしょう。


仲良しのMは活発で他校の男子学生とも気軽に話せる。

そんなMが羨ましく思いました。


しかし、高校1年生に進級した時には仲良しのMの姿は学校から消えていました。


そうです。

お決まりの強制退学です。


学校を退学したMは他の高校には進学せず年齢を偽ってススキノで働いている事を後から知りました。


−話は続きます−


謝罪・・・写真の外し方が分からなくて同じ写真をニ枚も貼ってしまいました。