父が刑期満了前に苗穂刑務所から出所し故郷の三笠市弥生町に戻って来たのは私が4歳の時。

迎えた母や親族は喜んだと思いますが私には父に初めて会った父を初めて見た記憶が無いのです。

更には産まれた時には居なくて突然に現れた父を父とは思えず。遠い親戚の人みたいな感じだったのでしょうか。

私は凄く内気な性格で人見知りも激しく。

父が「パパだよ」と言ったのか記憶はありませんが、その瞬間は何も覚えていません。

父は既に札幌市の会津谷小高一家の親分、小高龍湖と親分子分の盃を交わしていたと思われ苗穂刑務所から出所後、三笠市弥生町の実家に戻った直後に母と私を連れて札幌市に移りました。

かすかな記憶で私はトラックに乗っているのを覚えています。


引越し先は父の兄貴分が所有する2階建ての木造アパートでした。

今の札幌ファクトリーの近くだったと思います。

アパートの2階に居を構えましたが、家財道具は何も無くて一間の部屋だったと思います。

台所に立つ母の後ろ姿だけは鮮明に覚えています。

父は不在が多く、一緒に遊んだ記憶はありませんが、たまに立派なままごとセットをお土産に買って来てくれました。


お正月になると幼い私を連れて、○○兄貴や○○親分宅を訪問。みんな何故か子供には優しくて沢山のお小遣いを貰いました。

そのお小遣いは私の手元には来ません。全て父の財布の中に入っていきました。


札幌に出て来たばかりの父は勿論、定職は無くお金が無かったのでしょう。

私=お小遣い=父のお金

に繋がる方程式です。


−話は続きます−