「マーケティング」って、不思議な言葉ですよね。
人によっていろいろな解釈があります。
ある人はマーケティングは「集客だ」と言えば、ある人は「リサーチだ」と言う。
また、ある人は「商品を買ってもらうことだ」と言う。
あなたは、「マーケティング」って、何をすることだと思いますか?
参考になるのである凄腕マーケターが手がけた1つの商品の話をします。
そのマーケターが手がけた商品は「缶コーヒー」。
その当時から、缶コーヒー市場と言えば、かなり競争が激しく、なかなか自社の商品をお客様に選んでもらうのは難しい状況でした。
それに、コンビニや自動販売機の良い”場所”は、すでに、業界1位コカコーラ社の「ジョージア」、2位のサントリー社「ボス」を始め、トップ企業が押さえていました。
そんな中で、あなたが、缶コーヒーのマーケターなら、マーケティングの力を使って、どんなことをするでしょうか?
少し考えてみてください。
・より感情的な訴求で広告宣伝をしますか?
・他が売り出していない差別化要素を打ち出しますか?
・「1本飲んだら1本無料」のような強いオファーを作りますか?
・あるいは、その時の旬な芸能人を使ったキャンペーンを行いますか?
さて、どうでしょうか?
ちなみに、今挙げたこれらのことは「マーケティングの教科書」に載っているようなことなので、もしかしたら、似たようなことをあなたも考えたかも知れません。
ですが、本当の意味で「最強のマーケティング」とは、こういうことではないのでは?
実際、そのマーケターは、これらのことをする前に、こう考えました。
“そもそも、競争が激しい缶コーヒー市場の中で、同じような缶コーヒーを売り出しても苦しくなるのは目に見えている。そんな中で、いくら広告宣伝をしたところで、あまり効果がない。“
そう考え、商品を0から考え直すことにしたのです。
当時から美味しいコーヒーを作る努力は、続けていました。ですが一方で、ただ美味しいだけでは、他の缶コーヒーより自分達を選んでもらうことは難しい事も分かっていました。
だからこそ、他よりも「売りやすい商品」に変えようと考えたのでした。
缶コーヒーがよく飲まれる時間帯は朝。
それなら、「朝」に特化して、「朝専用の缶コーヒー」を作ればいいんじゃないか。
そして生まれたのが、「ワンダ モーニングショット」でした。
その当時、「朝専用の缶コーヒー」なんていう商品は、世の中に1つも存在していませんでした。
このコーヒーに注目が集まるのは、簡単に想像ができます。
商品コンセプトそのものが、とても注目を集めやすく、売りやすいものでした。
それが出来たらあとは簡単です。
最初に挙げたような、いわゆるマーケティング戦術を使って、どんどん広めていけば良いんです。
より強いオファーを作る、芸能人を使ってどんどん拡散する、どんどんお金をかけて広告宣伝するなど。
結果的に、ワンダモーニングショットは、記録的な大ヒットになり、今でも売れるベストセラー商品になりました。
これこそ、本当の意味でのマーケティングではないでしょうか。
たまに、マーケティングというものを、「売れない商品でも売れるようにする技術」のように勘違いされている方がいらっしゃいます。
ですが、そんなことはありません。
普通に考えて、売れない商品の広告を一生懸命書いたところで、強いオファーを作ったところで、売れないものは売れません。
売りづらいものは、売りづらいままです。
だからこそ、まずは「売りやすい商品」を作る。
売れる商品を企画する。
売れるコンセプトを作る。
これこそが最強のマーケティングではないでしょうか。