【披露宴の席で】
昨日のことです。
「あなたは健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も・・・・」
教会での厳かな誓いの後、場所を変えて披露宴となりました。
心温まる数々の祝辞や、久々に顔を会わせた友人や親せき同士の親しい会話が席のあちこちで交わされ、宴の最後に新郎新婦からの挨拶が始まりました。
そして新郎が、新婦の献身に対して、感謝の言葉を述べていた時のことです。
酔っぱらった(と思われる)先輩が、大きな声で「今のところはね。」と口をはさみました。
そしてすぐさま「10年すりゃあ、全然違うよ!」と続けたので、それまでしんみりしていた会場の雰囲気が一気に変わり、みんなこらえきれずに、笑い出しました。
恐らく既婚者の殆どが、「うむ。否定はできない。」と思ったことでしょう。(もちろん私も。)
私の隣に座っていた従姉などは、親戚の中ではおしどり夫婦で知られていますが、そんな彼女も「ある、ある。」と言わんばかりの表情で、大笑いしていました。
【時間の経過は大敵かも】
確かにねぇ・・・。
ここに、夫婦のスレ違いの原点があるように思います。
お互いに一致していた最初の「当たり前」が、大抵の場合10年経つと、それぞれ違っています。
そもそも結婚してすぐに「失敗した!!💦」と後悔するような特殊なケースは別として、大抵の場合夫婦がうまくいかなくなるのは、2人の間に何か劇的なことが起きるからではありません。
日常生活の中で、時間の経過と共に、少しづつお互いの基準がずれてくるからです。
そりゃあ、子どもが生まれれば、優先順位は自ずと自分1人では何もできない赤ちゃんが第一になりますし、家族の誰かが病気になったりすれば、また状況は変わってきます。
ですから、いつまでも夫(あるいは妻)ばかりを最優先にしていられませんが、とはいうものの、そもそもお互いに、全く違う環境で育った2人です。
忙しさにかまけて、
「そんなことくらい、大人ならばわかっているはず。」
「いちいち言わなくても、当然でしょ。」
と思っても(特に妻は夫に対して、そう思いがちですが)、相手は全くそう思っていないことも、実はしばしば。
【王道も正解もありませんが】
その都度話し合うことができればベストですが、子育てや仕事に全力モードで忙しい時には、いちいち立ち止まってもいられません。
でも自分の気持ちだけを基準に走っていると、いつの間にかお互いの距離は遠くなってしまいます。
その時にちらっとでも「向こうはどう思っているんだろう。」とか、「本当は納得していないのかな?」と思う気持ちがあれば、後でケンカになることがあっても、何とかこじれることなく仲直りがしやすくなります。
そしてある時、相手の本音を聞いて、「この人のこと、全く理解できない。」と愕然とすることもなくなります。
もちろん夫婦がいつまでも仲良く暮らすのに、王道も正解もありません。
長い歳月には、結婚生活を続けるべきか、あるいは終止符を打つべきか、迷うこともあるでしょう。
でも相手の気持ちに関心を持つこと、そして一緒に暮らし始めた頃の思いを時々思い出すことができれば、きっと10年経っても一緒に笑い合えるでしょうし、仮に別れを選ぶことがあったとしても、その後も節度のある関係を保つことができます。
披露宴の一幕を見て、そんなことを思った1日でした。