死神は恋を連れてやってきた 著者:渡辺容子 出版年:2012年9月19日 評価:☆☆ 完了日:2015年5月1日 ラベル:ラブストーリー
「あなたは私が守る!」
一流(いちながれ)愛(24歳)は、各種格闘技の有段者。柔道、剣道、テコンドー何でもござれ。腹筋も6つに割れてるよ。
だが、そんな輝かしい経歴も婚活の前には役に立たなかった。つまり、お見合いは連戦連敗ということですな。
有段者であることを生かして、愛はボディーガードの仕事に就いている。
あ、これはあきまへんわ。ますます結婚から遠のく。
今度の任務は、アメリカから来る大富豪の御曹司を護衛せよというもの。
護衛対象は、ジョン・スミス。アートディーラーをしており、今回の来日目的は静養のためらしい。
今回の任務には不可解な点が多い。まず、護衛対象が誰なのか、直前まで教えてもらえない。護衛対象のお付きの者たちの動向に怪しい所がある。素人の動きではないような・・・・。秘書やコックだと言っているが、実はSPなのでは?と疑ってみたり。
アートディーラーらしく、ジョン・スミス一行は美術関連の場所にあちこち出掛けていく。しかし、ここで不可解なことが発生する。
ジョンが面会した人物が翌日には不審な死を遂げているのだ。
不安からか、ジョンは愛に「しっかり守ってほしい」と言ってくる。その決意を新たにする愛。
いやいやいや、どう考えても真っ先に疑うべきなのは、ジョン一行ではないのか。彼らの行動には怪しい点が多すぎだよ。気づけ愛!
「もしかしたら私、玉の輿に乗れちゃうかも~」
とだらしない顔で妄想している場合じゃないぞ。
そもそも、仲間のボディーガードたちはどこ行った?途中退場ですか?
物語は愛の視点で進んでいくが、彼女の性格はミーハーそのものだ。彼女の思考性を見ていると、およそボディーガードには向いていないんじゃないかと心配になる。
物語の最初はもっと堅いタイプのイメージだったのに、後半になるにつれて、脳内お花畑になっていってるような気がする。
ボディーガードは、どんなことが起きようが冷静に対処し、護衛対象を守らなければいけない。たとえ、ボディーガード仲間が傷つけられようが、取り乱したりせず護衛対象を即座に安全な場所へ誘導する必要がある。
しかし、愛にはそれがない。できていない。人の心配ばかりしている。それが彼女の優しさだと言ってしまえば聞こえはいいが、ボディーガードとしては失格だ。
だから、そんなことしてる場合じゃねぇって!!
どこまで脳内お花畑やねん。だめだ、この女。
愛はその場の空気、雰囲気に流されやすい面がある。一旦は、軽蔑しておきながら、実際に会ってみると目を潤ませていたりするんだから、なんだかなぁと思う。
愛とジョン一行はある場所へと向かう必要が出てくるのだが、道中、何者かに命を狙われる局面に陥る。その逃走劇の途中に、愛とジョンは挙式をしてしまうんだから、どういうことだってばよ!状態になる。
設定からして色々おかしいだろ!というような点がわんさか出てくる。
Amazonでは、なぜか高評価が付けられているから、これだけでも笑けてくる。
本書は、女性の夢や憧れ、希望(または欲望とも言う)を体現したハーレクイン的小説だった(爆)