金木犀二十四区 著者:三木笙子 出版社:角川書店 出版年:201291日 評価:☆☆ 完了日:2015年1月10日 ラベル:SFロボット+ファンタジー星

 

 

 

 

 

 

 

秋口に咲き、爽やかな芳香を放つ金木犀の匂いが好きだ。でも、一週間程度で散ってしまうから悲しい。せめてもうちょっと・・・!

 

 

最初らへん、時代設定がよく分からなくて混乱した。装丁画から現代日本だと勝手に想像していたもんだから、余計に面食らってしまったのだ。

 
 
 
 

 

かつては東都と呼ばれていたが、革命が起こってから150年後の現在、ここは首都と呼ばれていた。首都は行政区分で23区に分けられ、東都時代から花木を愛する者が多かったことから、各区の名称には花の名前が付いていた。

 

 

だが、東都のなかには知る人ぞ知る24番目の区があった。それが「金木犀二十四区」である。

 

 

東都とか革命とかは、現実でいう所の江戸時代・明治維新のことだろう。東都の23区は、東京23区の墨田区とか渋谷区とかのことだろうな。本作はパラレルワールドの現代版といったところか。

 

 

 

 

 

木下秋(あき)は、この金木犀二十四区で祖母の初(はつ)と共に花屋を営んでいる。和花専門の花屋である。

 

 

ある日、知り合いの住職の弟子だという人が秋の家を訪ねてくる。彼の名前は佐々木岳史(たけし)。山伏だという。

山伏の業務の一つとして、ある仕事をするために木下家のチカラを借りたいとやって来た。

 

 

実は秋には不思議なチカラがある。みんなはそれを靡(なびき)と呼んでいた。秋自身は否定してるけど。

 

 

 

 

 

なーんか、書き込みが足りない気がする。一行改行ばかりだしさ。

 

 

岳史はおちゃらけた性格と定義してるけど、そんな感じが全然しない。キャラクターを魅せるためには、言葉一つで片付けようとせずに、それを象徴するエピソードを展開させてやるべきなんだよね。おちゃらけてると言うわりには、岳史はいつも苦しそうに眉をひそめている印象しか本書からは得られないのだがな。

 

 

あと、秋と岳史が信用しあうようになるというか、心が通じ合うようになるエピソードが欲しい。それがあれば、その後の展開での裏切られた感がより感じられるようになったはず。これだけでは、あまりショック感じないな。

 

 

一行改行ばかりなのは、初出が携帯サイト「小説屋sari-sari」に掲載されていたからか。どうりで薄っぺらい訳だ。

 

 

 

 

 

先日、二十四区の近くに隕石が落ちた。古代中国の頃から、隕石と天狗は結び付けて考えられてきた。岳史はその調査をしにこの街へとやって来たという。隕石が落ちた場所が街中なら、天狗の仕業によって森林化が引き起こされるというのだ。天狗は山の中(森)でしか生きられないため、森林化が必要なのだ。

 

 

本書では曖昧な秋の出自についても明らかにされていく。秋の靡としてのチカラ、天狗、森林化・・・・これらの関係性とは?

 

 

本当のところは別にある。目に見えるものだけが全てじゃない。秋は隠れ蓑になっていたというのか。損な役回りだ。

 

 

 

 

 

ビミョーに面白くないもんだから、遅々として読むのが進まなかったな。軽い方の文章のはずなのに。面白くなりそうな期待感はあったのに、それがないまま来ちゃったもんだから残念。

 

 

研究所の存在がふわっとしすぎていて、リアリティが感じられない。何をする機関なのか、よく分からん。