神様の休日~僕らはまためぐり逢う~ 著者:岡本貴也 出版社:幻冬舎 出版年:201426日 評価:☆☆☆ 完了日:20141127日 ラベル:現代ビル

 
 
 
 
 
 
 
 

帰ろう

これからは家族4人、ずっと一緒だ

 

 
 
 
 

角尾彰紀(あきのり、22歳)は、気に食わないことがあるとすぐに顔や態度に出てしまう青年。そのため、仕事も長続きせず、職を転々としていた。

 

 

岩手県の小さな漁師町。狭いコミュニティの中でいきがっているヤツらは、彰紀にとってどいつもこいつもバカみたいに見える。だが、町を出て都会へ行こうとも、中卒の彰紀では正社員の道は望むべくもない。結局、ここでくすぶり続けるしかないのだ。

 

 

 

 

 

地方での職の無さは本当に絶望的。せっかく専門的な学校(勉強)を出たとしても、自分が望む場所・地域(その多くは故郷)で望む仕事に就ける可能性は低い。全然関連性のない仕事に就いている人が多い。そう思うと、何のために勉強してきたのかなと悩んでしまう。

 

 

 

 

「「幸せ」とは何なのか。分からないから、幸せになる資格は俺にはないような気がする」

 

 

そんな悲しいこと言うなよ彰紀。そんなこと言っちまったら、人間なんのために生きてるのか分かんないよ。みんな幸せになりたいと思うから少しでも努力しようとしてるんだよ。

 

 

幸せになる資格ってなんだよ。そんなのが要るんだったら、最初の時点で不幸なところにいる人は、一生不幸でなきゃいけなくなるじゃんか。そんなのやだ。胸が締め付けられる。

 

 

 

 

 

美容院で彰紀は、栗又えり奈という女性と出会う。お互いの第一印象は最悪。だが、その後再会した合コンで二人は付き合い始める。

 

 

えり奈は天真爛漫で思ったことはずけずけと言うタイプの女性。ぶっきらぼうな彰紀にはもったいない。今まで女性と付き合ったことのない彼にとって、えり奈はこれまで感じたことのない知らなかった想いや感情を抱かせてくれたすごく大切な人。

 

 

そこで逆プロポーズですよ。女にそこまで言われちゃ、男が廃るってもんよ。

 

 

「僕があなたをしあわせにするから」っていうセリフ大嫌い。私の幸せが何なのか、お前が勝手に決めるんじゃねぇ!って思うから。幸せにする・されるじゃなくて、一緒に幸せを築いていこうっていうのが、夫婦のあり方だろ。たぶん、そっちの方が長続きする。

 

 

 

 

 

家族を持ったことで彰紀は真面目に働き始める。えり奈の祖父の紹介で漁師になったのだ。

 

 

そして、運命の日を迎える。

 

 

もうダメだ。後半からは涙と鼻水が止まんない。目の前がにじんで読み進めることができない。これで何枚ティッシュがごみ箱行きになったことか。

 

 

 

 

 

なんでこんなことになってしまったのか。自然の摂理。誰が悪いということでも、誰のせいでもない。なるようにしてなったのだ。

 

 

えり奈母が悪魔の所業かと思うくらい、ひどい言葉を彰紀に投げつける。いくら気が動転してるとはいえ、理不尽だ。

 

 

最初、結婚に大反対だったえり奈父は、こんな時なにも言わない。どうした?あんたそういう人だったか。えり奈母が好き勝手な言動してるのに、止めてくんないのかよ。もっと気概のある人かと思ってたのに。

 

 

 

 

 

彰紀は家族を一番大切にする男。まぁ、それはそれで良いんだけど、他人に対する思いやりというのがやっぱないな。気分に左右されやすいし。

 

 

家族にとって彰紀は優しいお父さんかもしれないが、こういう奴がいると周囲にとっては迷惑だな。自分とこの家族がなんでも一番先に優遇されるべきと考えるから(例えば、アイスが食べたいと駄々をこねる子供のために、行列に割り込むようなタイプ)。

 

 

 

 
 

 

元の木阿弥。全てを失ってやさぐれる彰紀。また以前のような態度を取ってるし。

 

 

新しい出会い。そこで彰紀は、これまでとは違う考え方を知る。ある人の言葉、心が軽くなる。深刻に考えすぎないでもっと気楽に生きればいいじゃんというものだ。自分もバカ真面目に考えすぎるフシがあるからな。

 

 

その言葉によって彰紀は、ある決意をする。

 

 

 

 

 

本書は著者の体験が元になっているそうだ。だからこんなにもリアリティがあるのか。