最強の天使 著者:まはら三桃(みと) 出版社:講談社 出版年:2007622日 評価:☆☆ 完了日:201495日 ラベル:現代ビル

 
 
 
 
 
 
 

 

最強の家系の、最強の天使

 
 
 
 
 
 

 

人生初のラブレターをもらっちゃったよ、オレ。相手は同性の男。なんでやねん!

 
 

 

小栗周一郎。中三。あだ名はクリシュー。けっこう女子には人気がある方。だけど、なんでよりにもよって男からラブレターをもらわにゃならんのだ!!

 

 

コミカルな文章。マンガ的表現な感じがする。

 

 
 
 
 

 

周一郎には父親がいない。彼が5歳のときに突然出て行ってしまったのだ。それ以来、周一郎は母親と二人で暮らしている。

父親が出て行った理由は分からない。父方の祖父は母親のせいだとなじっていたけれど・・・。

 

 
 
 
 

 

タイムリミットが迫っていた。引っ越すことになったのだ。そのことを好きな子に伝えたいけど、なかなか言い出せない。周一郎のいくじなし。

 

 

その他にも、偏屈で頑固な祖父から周一郎に会いたいとの手紙が来たり、父親ではないかとの目撃情報が入ったり、思春期な周一郎の心を千々に乱す。もう訳が分からないよ。

 

 
 
 
 

 

記憶の片隅に追いやって、思い返すことすらもしていなかった父親の存在。忘れていたと思っていたのに、もうなんとも思ってないはずだったのに・・・・。父親の目撃情報は、周一郎が考えていた以上に彼の心に衝撃を与えたわけで・・・。そりゃ、叫びだしたくもなるわな。

 

 

憎かったはずの敵が妙に優しい。調子狂うな。お互いに腹を割って話し合わなければ分からないこともたくさんあるもんだ。幼い頃の記憶違い、勘違いやらで誤解していたのだ。特殊な状況に追い詰められたからこそ、そのことを確認することができたのだ。

 

 

意味あるものに持たせたいのなら、ラブレターの彼の性格をもっと深く掘り下げていたならば、より心にくるものになったのではなかろうか。ちょっと軽いかな。