サマー・ランサー 著者:天沢夏月 出版社:アスキーメディアワークス 出版年:2014425日 評価:☆☆ 完了日:2014627日 ラベル:青春目

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

目指すはてっぺん

グングニルだ!!


 

 
 

 

19回電撃小説大賞〈選考委員奨励賞〉受賞作品。

 

 
 
 
 
 
 

 

主人公・大野天智(てんじ)。彼が高校に上がる直前の春休み中に祖父が亡くなった。祖父は天智に剣道を叩き込んできた、云わば師匠だった。

 

 

祖父は生前、こんなことを言っていた。

 

―――軌跡が見えるのだ、と。

 

 

幼少期から祖父に鍛えられてきた剣道で、天智はこれまで賞を総なめにしてきた。しかし、中学生のころからその強さ、成長に翳りが見え始める。そして、祖父の死がダメ押しとなって竹刀すら握れなくなってしまった。

 

 

自分には祖父の言う《軌跡》が見えない

 

そう落ち込む天智。

 

 
 
 
 

 

入学した高校の部活動時間。天智は剣道部に近づかないようにしていたものの、ある場所から普段聞きなれない音がしているのに気づく。気になってのぞいてみると、生徒たちが木製の槍で対戦していた。

 

 

それは槍道(そうどう)という競技。

 

 

部員の一人で同級生の羽山理佳に半ば強引に誘われて、天智は槍道部への入部を決めるのだった。

 

 
 
 
 
 
 

 

んー。文章はそんな上手という訳ではないな。理佳と部員との絡みが冗長かな。あまり本編と関係ないやりとりは息抜きとしてはたまに必要だけど、それが長すぎると煩わしくなる。

 

 

槍道という競技は、実際には存在しない。作者の創作だそうだ。

そもそも木製といえども、槍で突きあってたら危ないにもほどがある。型としての美しさを競う競技だったらいいのかもしれない。でもそれだと小説として面白くなるか、と言ったら微妙だけど。

 

 
 
 
 

 

半分近くは、天智が迷っている話。剣道を棄てて槍道をやることにしたはいいが、じいちゃんの亡霊というか、その影におびえて迷ってばかりなんだよね。そんなんだとやはりと言うか、槍をうまく扱えないわけで。ええぃ!うじうじ×2、鬱陶しいんじゃい!!

 

 

青春ものは大好きなんだけど、本書はもう一歩といったところ。試合の場面ではもっと白熱した感じを出して欲しかった。

言葉が足りないんだな。一行改行ばかりして、ページ数を稼いでるような感じがする。

 

 

自分は柔道や剣道などの経験がないから分からなかったが、剣道経験者から見たら本書にはおかしな描写がちらほらと散見されるようだ。明らかな取材不足。Amazonの評価にも辛口な意見がいくつか見られた。