仮り住まい 著者:丹下健太 出版社:河出書房新社 出版年:2012年4月7日 評価:☆☆☆ 完了日:2014年3月5日 ラベル:現代ビル







初読み作家。


ショートショート「夜の住人たち」を併録。


一文が長いなと感じる。理解できない文章の組み方じゃないからいいけど。






サラリーマンでアラサーの前田は、突然弟から二週間ほど泊まり込みでヘビの世話をしてくれないかと頼まれる。了承したつもりは一つもないのに、勝手に話を進める弟。


しかも、その泊まり込み先は、前田の大学時代の同級生・みきが住んでる家だった。おいおい、どーなってんだ?これ・・・(-_-;)






弟とみきとの関係性について何も知らされていなかった前田。でも、説明されてもよく分からない関係。


あるあるある。自分も知らないことばかりだよ。故郷から離れて暮らしていると、親・兄弟の動向について何一つ知らされていないことばかりなんだよ。だいぶ経ってから驚愕の事実を知らされるんだよなぁ。


「どーして教えてくれなかったんだよ!」と問い質せば、「rigretの存在なんか忘れてたわ」という答えが返ってきそう。泣くわ。






さて、本書。同じ屋根の下に男女が二人(前田とみき)・・・。これで何も起きないはずがない!


って、本当に何も起こらない。なんてこったい!!


だって、前田には彼女がいるし。10年来の付き合いがあるみきの中身を知り尽くしている前田にしてみれば、もはや彼女を女として見てはいないのだ。実にあっけらかんとしている。






ひょんなことから前田は、会社で別部署にいる課長の田村と関わりを持つようになる。田村の部下たちから、彼はねちねちと仕事のイヤミを言う人間だと聞き及んでいた前田。


しかし、前田は田村の意外な一面を垣間見ることになる。


人間、深く付き合ってみないと分からないこともあるもんだ、ということですよ。






歯に衣着せぬ物言いのみきに対し、たじたじとするしかない前田の構図が面白い。口達者な女の前に、男は降参するしかないのだ。




↑みきにやり込められる前田から怨嗟の声が聞こえてきそうだ。






世話をすることになったヘビのうわばみ具合がなんとも言えない。これはある意味、生態観察小説だな。


ヘビがもとで繋がる縁、というのもなかなかに可笑しなものだな。まぁ、こういうのも悪くない。