四畳半神話体系 著者:森見登美彦 出版社:角川書店 出版年:2008年3月 評価:☆☆☆☆ 完了日:2014年6月5日 ラベル:現代&ファンタジー
主人公である「私」の立て板に水のごとし流れるような文章。文言のいちいちにフハッと笑いがこみ上げてくる。そしてニヨニヨとしながら本書を読んでる自分。もうダメだ。腹が痛い。
京都のとある大学に入学した「私」。空想に空想を重ねて(人はそれを妄想と言う)、思い描いたバラ色のキャンパスライフ。希望に胸を膨らませ、膨らませすぎて破裂しそうになるのではないかと危ぶまれながら始まった学生生活。
だが、ふたを開けてみればなんたることや、バラ色のバラも急速に色を失って枯れていくがごとし。暗黒街もびっくり、というくらいの陰鬱たる生活しか送ってこなかった。いや、送ってこざるを得なかった。気づけば私は三回生となり、5月の終わりを迎えようとしていた。
どうして私はかくも無為な二年間を過ごしてしまったのか?
責任者よ、出てこい。
【収録作品】
四畳半恋ノ邪魔者
四畳半自虐的代理代理戦争
四畳半の甘い生活
八十日間四畳半一周
解説 佐藤哲也(作家)
「四畳半自虐的代理代理戦争」
新歓のときにもらった大量のビラの中に「弟子求ム」となにやら興味惹かれるものがあった。
あれよあれよという間に、樋口師匠の弟子となった私。兄弟子として、月の裏側から来たような顔をした小津という男を紹介される。まぁ、私より十五分早くやって来たというだけの兄弟子でしかないが。
樋口師匠とこの間まで映画サークル「みそぎ」のリーダーをしていた城ケ崎なる男がなぜだか争いをしていた。争いとは血で血を洗うようなすさまじいものではなく、どれも他愛ないいたずらとでも言うべき可愛らしいもの。
私たち弟子は、このどうでもいい争いに巻き込まれ、手伝いをさせられるはめに。
そもそも、「自虐的代理代理戦争」と呼んでいる樋口師匠たちがしているこの争いは一体なんだというのだろうか?
あぁ、樋口師匠と小津に出会わなければ、私のこの二年間は不毛に過ぎ去りはしなかったものを。
「八十日間四畳半一周」
人間一人が暮らすだけならば、四畳半という大きさが最適だ。
自ら秘密組織と公言してやまない秘密組織などあるものか。私はそううそぶいていたが、秘密組織〈福猫飯店〉は大々的にそう公言する秘密組織であった。〈福猫飯店〉に所属していた私だったが、その組織活動のいかんともしがたい行状に嫌気がさし、やめてしまった。
以来、私が下宿しているこの下鴨幽水荘で籠城している次第である。
だがある日、不思議なことが起こった。トイレへ行こうと思い立ち、ドアを開けるとその向こうに四畳半の私の部屋が広がっているではないか。後ろを向いても四畳半、前を向いても四畳半。
私はどこまで行っても四畳半しかないこの奇妙な空間に閉じ込められてしまったのだ!!
四畳半は宇宙の真理だった?(錯乱)
何を隠そう、自分の前の下宿先が四畳半の部屋だった。2016年3月に今のアパートに移ったが、そこは六畳のワンルーム(和室)。
引っ越しに先立ち、新居を色々と確認しているときにふと感じたこと。
あれ?六畳のはずなのに、四畳半と同じ大きさのような気がする。
後日メジャーを持ってきて、一畳分のたたみの大きさを計測する。
・・・・!六畳の方がたたみの大きさが小さい!!これ江戸畳じゃねーか!
四畳半の部屋は関西畳で江戸畳より一回り大きいサイズだったのだ。
以前、四畳半の部屋に住んでると言ったら、鼻で笑われたことがあったけれど、四畳半は狭くないんだぞ。江戸畳の六畳とほぼ同等なんだぞ。と、今となっては言える。
きっとこの本書の「私」の四畳半の部屋も関西畳に違いない。そう確信している。
並行世界を現した短編。
結局、どの道を選択していたとしても、私のキャンパスライフはバラ色とは程遠く、必然的に妖怪のような八面六臂の活躍を見せる男・小津に出会っていたということなのだろう。なんてしょっぱい青春なんだ(笑)
上記に感想を挙げた2つの短編以外の短編もめっぽう面白いからぜひ読んでみてくれ。
2010年4月ノイタミナ枠にてテレビアニメ化。
原作は4つの平行世界の話だったが、アニメでは10の平行世界の話が入っている。
幻の亀の子たわしが原作では2万円だったのに対し、アニメでは10万円になってた。高すぎるわ!
キーアイテムである「モチグマ(くまのキャラ)」のキャラデザを確認しようとアニメを見返していたら、面白すぎて結局全話観てしまった。
↑ふわふわ戦隊モチグマン、登場!!