人と刀を繋ぐ架け橋となれーーー

 

去る2022年10月下旬。日常的にプレイしているゲーム『刀剣乱舞』でこんな案内が出た。

次回に公演される『ミュージカル刀剣乱舞』の抽選応募開始という案内が。

 

ふーん。と思って詳しい日程とか確認してみると、自分が行けそうな大阪公演は1週間ぐらいしか公演がない。

以前に抽選が当たった『舞台 刀剣乱舞』は2週間ぐらいだったから、それに比べたら公演短っ!となった。

 

こりゃあ、激戦区だな。はははっ、どうせ当たらねぇぜと思って応募したところ・・・。

 

当たっちまったよ(;゚Д゚)

まいったな、こりゃ。舞台に続いてミュージカルまで、どんな幸運だよ。

 

今回も奮発してS席にしといたぜ!


『舞台 刀剣乱舞』観劇の感想はこちら↓


 

  公演日程

 東京公演(日本青年館ホール)

2022年12月11日~23日

 

大阪公演(梅田芸術劇場メインホール)

2023年1月13日~22日

 

※3部構成

 1部(60分)、2部(80分)、3部(45分)

 

 

  出陣する刀剣男士。()内は演者名

篭手切江(田村升吾)

刀工・郷義弘の脇差。歌って踊れる刀を目指している。

豊前江(立花裕大)

刀工・郷義弘の打刀。刀身が行方不明の幻の刀。速さにこだわりがある。

桑名江(福井巴也)

刀工・郷義弘の打刀。名前は桑名藩に在ったことに由来する。畑仕事が大好き。

松井江(笹森裕貴)

刀工・郷義弘の打刀。名前は細川忠興の重臣だった松井興長が所持者だったことに由来。血にこだわり、瀉血に異様な興味を示す。

五月雨江(山﨑晶吾)

刀工・郷義弘の打刀。自分の名を詠んでくれたあの方への尊敬も込めて、自身も俳句を作ることを趣味としている。

村雲江(永田聖一郎)

刀工・郷義弘の打刀。二束三文で売られたこともあり、自信がないのか己を卑下するような発言が多い。よくお腹が痛くなる。

大典太光世(雷太)

三池典太光世作の太刀。天下五剣の一振りとして知られる。加賀藩当主・前田家の宝剣として長らく蔵に収蔵されていたからか、本丸内でも蔵にいることが多い。

水心子正秀(小西也弥)

刀工・水心子正秀の打刀。新々刀の祖として威厳を保とうとするも、油断すると素が出てしまう。

 


  あらすじ

蔵の中を掃除することにした江の者たち。

主の許可を受けて、蔵を整理したらそこを”れっすん”の場にしてもいいと言うことになったのだ。

 

掃除をしていると、布が被せられた棚を見つけた豊前。めくってみると、大量の本が積み重ねられていた。

興味本位で本を手に取る面々。その中の一冊が曲亭馬琴作の『南総里見八犬伝』。江戸時代に流行した作品だ。

 

そこで、これを題材に演劇してみるのはどうだろうという話になった。

流石に全編やるのは大変だし、江の者たちの数にも限りがあるから、多少の改変が必要。

ということで、江の者たちならではの『新編 里見八犬伝』として本丸のみんなにお披露目しようということに。

 

さっそく、江の者たちはれっすんに取り掛かるのだった。

 

 

  感想

1部は演劇をすることに決めて、助っ人役のサポーターをゲットするまでの本丸の日常を含めたお話。

2部が主や本丸のみんなに見せるといった体で里見八犬伝を実際に演じていく。

3部がライブパートの3部構成になっている。

 

 

まずもって残念だったのは、前日に体調不良が出て観劇日当日にまで尾を引いてしまった状態だったということ(notコロナ、頭痛です)。

くそっ、何でよりにもよってこんな時に!

体調万全で望むことが出来なかった😨

 

若干意識怪しい状態で観劇したもんだから、この感想も若干怪しいっす。

 

 

いつもだと、刀剣男士たちが出陣する様子を作品として描くというものだが、今回は演劇やってみようぜ!というスタンス。言わば劇中劇だ。

 

役者さんたちは刀剣男士を演じながら、さらに演劇での役を演じなければならないという難しい役どころだ。

 

 

rigretと八犬伝

話ガラリと変わるけど、中高校生の時、よしむらなつき先生のマンガ『御意見無用っ!!』を購読してた。

そのよしむら先生が新連載するというので見てみたら、それは『南総里見八犬伝』に題材を取った『里見☆八犬伝』だった。

それがrigretが八犬伝なるものを初めて知った契機だ。

 

で、2022年に晩秋ぐらいに本屋行ったら、新刊コーナーによしむら先生の『里見☆八犬伝』が置いてあってビックリした。

まだ続いてたの!?あれから20年くらい経つぞ。

 

 

正義と悪とはー?

以上、余談。

さて、劇中劇。その配役どころが絶妙だ。

刀剣男士たちが抱えている問題やキャラクター性と微妙にリンクしているものを役として演じているのだ。

 

顕著なのが、村雨江演じる旦開野(あさけの)。

村雨の元主は悪役として描かれることが多かったため、人間たちによる善悪の付け方、正義か悪かの線引きの仕方に非常にセンシティブな感覚を持ち合わせている。

 

歴史小説をたくさん読み、さらには歴史の舞台となった地を訪ね歩いていると分かってくることがある。

この世は、勝った側の者たちの論理だけが正しいとして歴史が形作られてきた。

 

果たして、そうだろうか。

 

負けた側が悪いとして、全てをその者たちに押し付けている様子が見えてくるのだ。勝者側の不都合な部分も何もかも。

そうやってクリーンな勝者側のイメージを作り上げ、真実を詳しく知らない同時代に生きた者たちはおろか、後世の人間たちにもそれらを信じ込ませようとしている。反吐が出るぜ。

 

旦開野は赤子の頃に家族を皆殺しにされて、大典太光世演じる魔女に育てられた。

家族の敵討ちを一念に生きてきたが、実は魔女が家族を皆殺しにした張本人だった。

 

何が正義か、何が悪かーーー。

 

旦開野の役どころを通して、村雲がまた新たな視点を獲得して成長していくだろうと思っている。

 

 

MVPと裏MVP

今回のMVP賞は、大典太光世役の雷太さんだよ。

 

今回の出演メンバーの中では年かさということもあるけれど、圧倒的な経験量の違いが顕著に表れている。

歌唱力の高さ、ダンスの切れの良さ、自身が演じるキャラクターの理解や解像度の深さがすごいのだ。

そして、それを体現できるほどの演技力の高さに舌を巻く。

 

だから、雷太さん演じる大典太光世から目が離せなかったね。

柱に掴まりながらぐるりと回転する光世、足交差で前屈する光世、ダーツのように鯉のえさを投げる光世、キングチーター見に行こうとする光世etc....爆笑

 

巴形薙刀や千子村正もそうだったが、刀ミュ本丸の刀剣たちは(自分のイメージにはない)なんだかアグレッシブさがある。

原作の大典太光世は根暗で他者との接触を避けがちな感じがあるが、刀ミュのは根暗さはややあれども、ユーモア性を兼ね備えている感じ。

 

劇中劇の魔女の演技も圧巻だったね。

兄弟刀のソハヤノツルキが観たら、「あんなノリノリな兄弟、初めて見た」って言いそうなくらい( ̄∇ ̄;)

 

 

今回は裏MVP賞も発表。裏MVP賞は豊前江役の立花さん。

 

劇中劇では二役を任されているのだが、衣装の着替えの多さを見事にこなした。

3部でのライブパートでは、ソロ曲をやったすぐあとは全員曲になり、かつ衣装の切り替えもあるから滅茶苦茶大変だなと思った。

 

 

刀ステと刀ミュの違い

図らずも2年連続でチケットが当選し、刀ステと刀ミュを両方拝見させていただく幸運に恵まれた訳だが。

その違いについて記しておく。

 

まずは刀ステ。

マイクの音量がめっちゃ大きい。

大きすぎて、(もしかして録音したのを流してる?)と疑惑を持ってしまったほど。

オペラグラスで役者さんの口元を確認してみたら、動きに合わせてきちんとセリフが聞こえてきてたから、(うん、リアルタイムだ。疑ってごめん)となった。

 

対して刀ミュ。

マイクの音量は普通。むしろ、役者さんたちが目の前で喋ってるくらいの音量で聞こえてくる。

2階席だったから、実際にはめっちゃ遠いのだが。

 

 

次に終盤の違いについて。

 

刀ステ。

演劇後、役者さんたちが全員登壇するのだが、そこで観客たちはいっせいにスタンドアップ。

(えっ?えっ?)と思いながら自分も起立。そして盛大なる拍手を送るのだ。

 

それぞれにお辞儀をして順繰りに脇にはける役者陣。鳴りやまない拍手。

また登壇してくる役者陣。拍手、拍手、拍手の嵐。

 

千秋楽でもないのに、なぜ?と疑問に思いながら一緒に拍手する自分。

そして、これ何回繰り返すんだろうという疑問も湧いてきていた(3回ほどやりました)。

 

刀ミュ。

こちらも観劇したのは千秋楽ではない。

 

演劇後、役者さんたちの全員登壇は同じ。だが、観客のスタンドアップはなし。

拍手の中でお辞儀をして脇にはけていく役者陣。

1回で終わった。刀ミュはぬるっと終わった感じ。

 

なぜ刀ステはスタンドアップするのか、謎過ぎる・・・。

 

 

総評

刀ミュを生で観劇していたら、不思議な感覚に陥ってきた。

 

いま、彼らがどんな表情をして喋り、演じているのか、見えてくるのだ。

オペラグラスで覗いている訳ではない状態にも拘わらず。

実際には、顔は豆粒ぐらいの大きさでしか見えていないのに。

 

 

刀ステは登場人物たちがほぼ初見だったために、誰がどの声なのか一致せず、いま誰が喋ってるのだろうと混乱しながら観ていた。

刀ステはネット配信での無料放送が1回あったが、1回こっきりの出演の刀剣男士が多いため、ほぼ初見になりがちなのだ。

 

刀ミュも、ネット配信を通しての無料放送が何回かあり、かつテレビでのFNS歌謡祭に代表されるような音楽番組に出演し続けてきたこともあって、だいたい声質を把握している。その甲斐あってか、観劇では混乱するようなことはなかった。

 

 

単純接触効果もあるだろう。

しかし、それ以上に大きな力を発揮していたのは、歌や踊りである。

伝える力の大きさが圧倒的なのだ。

 

なぜ、舞台において歌や踊りといったミュージカル要素を取り入れるのか、その理由を現地に行ってみて初めて理解した。

 

観劇した刀ステの新歌舞伎座および刀ミュの梅田芸術劇場の会場全体の作りやキャパシティはぱっと見、ほぼ一緒。

役者の演技力というのは表情込みでの要素が大きいが、キャパシティが大きい会場だと舞台から遠くなるにつれて表情なんて見えなくなるからどうしても伝わりにくくなる(オペラグラスもあるが、画面酔いしちゃうのでずっと覗いている訳にもいかない)。

 

だが、歌や踊りがあることによって、いま登場人物たちがどういう気持ちなのか、喜びや悲しみといった感情が舞台から遠いところにいる観客にも分かりやすいのだ。

 

これは刀ミュの枠を超えて、ミュージカルそのものを発明した人は天才か!と驚嘆したいところだ。

 

勘違いしてほしくないのは、刀ステがダメだということではない。

演劇オンリーだと伝えられる距離にはある程度限りがあるということを言いたいのだ。

 

演劇オンリーの場合、役者も観客もお互いの顔が見える距離感(それがキャパシティ何人ぐらいなのか分からないが)の会場の方がいいんじゃないかなと思った次第。

 

 

何はともあれ良かったね、篭手切くん。夢が叶って。

江のみんなで一緒に出演することが出来て。感無量だよ。

 

本丸内で江の者としていち早く顕現してたけど、ずっと待ってたもんね。

御手杵を相手にれっすんしてた甲斐があったよ(御手杵は尊い犠牲となったのだw)

 

 

  グッズ


↑公演パンフレット(2,500円)

 

パンフ見たら、ほぼ記事なくて驚いた。刀ステのはまあまあ文章あったのに。

パンフと言うよりも、これじゃあ写真集だなという印象。

 


↑すていじペンライト(3,000円)

 

開演の2時間前にグッズ販売が1時間確保されてあったのだが、その時間内にとてもじゃないが客を捌くことはできず・・・・。

開場時間に突入するほどだった。

自分は早めに到着していたから何とか購入できた。約1時間半かかった。刀ステはそんなに待つことなくすんなり買えたのに。

 

遅めに来た人は、開演時間に差し障るとして買えないかもしれないという状況になっていた。

最悪ペンラさえあればいいんだ。他のグッズは通販で買った方がいいよ、と思った。

 

DMM経由なら3000円以上の購入で送料無料だよ。

今回、水心子のアクスタ(ライブver.)が速攻売り切れてたけど、通販なら受注生産もしてくれるよ。

ね、通販にしとこ。