$縮まらない『何か』を僕らは知っている-七尾旅人

99年の日本に降り立った天才少年は、天使だったんだ!?
部屋から出た2000年モードを確認!

全部デジャヴだもん。だから、本当に想像を絶することを、やっぱりミュージシャンはしでかさなきゃいけないし。
本当、戦争しなきゃ、勝手に。脅かして笑かして和まして。で、見たことないものを見せられたらいいと思う


ガラスの10代共に生きた90年代よ、さようなら、孤独と哀しみと不安よ、またよろしく。99年、最高のデビュー・アルバムを発表した、小鹿のような瞳の少年は、天使の羽根を持っていた!?
2000年の七尾旅人は、3曲入りマキシ・シングル「ナイト・オブ・ザ・ヘディング・ヘッド」で幕を開けます!! その新モードをじっくりと探る、はずだった同世代ノイズ・トーク



 90年代が、終わった。「ミレニアム」という見慣れぬ単語を持ち出してのちょっとした騒ぎのなか、デビュー・アルバム『雨に撃たえば...!disc2』以来となる七尾旅人の新曲が届く。紛れもない最高傑作。愛すべきB級ホラーのタイトルを模した、2000年3月発売の「ナイト・オブ・ザ・ヘディング・ヘッド」である。
 1曲目のモチーフは、飛翔。「自分の中にある80年代、そういう匂いとしてリアルタイムで覚えてる気がするのは、『ネバーエンディング・ストーリー』で……」。想い出を辿るbpm110で飛び続ける四つ打ち“エンゼル・コール”いや、説明はいつかまた別の機会にすることにしよう。ここに収められた3曲は、今や鉄壁のスタッフとなった安原兵衛&渡部高士が構築する屈指の質感を持っている。裏打ちのタイミングや、転調の瞬間のそれぞれの音の位相やヴォリューム、そういった「実は何よりも重要なディテール」に神経を注いだ音像が、七尾旅人を支えている。ここにはまた、微かにドラマ性を抑えて作られたようなメロディがあり、アルバムよりもだいぶフラットに聴こえる七尾旅人の多声があった。 (SNOOZER#017 䑓 次郎)


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