縮まらない『何か』を僕らは知っている-無題
無題(2)/downy (2002)

ヘッドフォン葵/downy


夕暮れに行き先など無く

まだ育つ――

一つ言えるのは

あまりに永く―― 唯永く…

悲しみに暮れるくらいならば

九十九の粒の涙を流し

月へと昇る……


錆びついた窓隅に

煙草の沁みわたる

時雨の空しさに

黒猫は髪を刻む


縮まらない『何か』を僕らは知っている-downy