Who is Genius? | ウズベク、ナンパ道場

Who is Genius?

現在は連絡も取れてない、というより元々連絡先も交換してないが、或るとき僕の尊敬する方がこんな事を仰ってた。

『ハードディスクはその容積を変えることなく、データの保存可能量を年々倍増させています。でも、まだ人間の脳はそれ以上のデータを蓄えておく事が出来るんです。それって・・・何か感じませんか?』

彼が言いたかったのは、「近い将来人間の脳が或る部分でコンピューターに抜かれる」という事ではなかっただろう。それは恐らく間違いないのだけど、僕はそのとき『やっぱりみんな天才なんだ。だから自分が天才だと思ってても、それは可笑しな事ではないんだ。』と確信した。それ以来、例え脳に障害があると判断された方でも、本当の意味でそこにどれほどの違いがあるのか分からなくなった。

どうしてこの様な話しを持ち出したか。
もうオシュまで100kmを切ったという地点で、サビールさんは車を止めた。何か自身の操縦する"足"に違和感を覚えた様だ。彼は車を降りて、10分ほど周りをうろついた後、ベカくんにも車を降りる様に促した。
緊急オペが始まる。

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右前輪に異常があったらしく、手早くジャッキで車を起こし、スペアタイヤと交換した。

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問題があったのはこの部品らしい。

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また見え難いが、ネジがキチンと合わさらなかった為、鉄くずを詰めていた。用意周到だ。

ウズベク男性も、20歳を超えるとほぼ同様の事が出来る。その割合は日本人の比ではないだろう。
それは殆どプロの作業なのだが、彼等は僕から見ればプロと言えない作業を「プロフェッショナル」と自称し、ウズベク人が皆当たり前に出来る事は自慢しない。

だから僕はいつもウズベク人をアホやな~と思うけど、それは単に見せ方の問題で、何かの能力が優るとか劣るとか思った事はない。同様に、日本人は手先が器用だとか、そんなのは都市伝説の類いだと思っている。

因みにベカくんに車から降りる様言ったのは、実地体験をさせる為だ。
なるほど、「タイヤ交換」に関しては、教育システムも中央アジアの方々はほぼ完成されたらしい。


サビールさんは満足そうにそのアクセルの踏み心地を確かめた。
僕は昨夜7時にビシュケクを出発し、午前9時、目的のオシュへ到着した。夕食の時間等を差し引くと、結局12時間で到着した計算になる。
ビシュケクからやって来た沢山の想いを、小さな頃父親の作業を手伝った要領で送り届け、僕はオシュの街へと身体を滑り込ませた。