『今の自分を創ってくれた人・服たち』後編 | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
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<今回の記事は北村悦子さんの寄稿文、『今の自分を創ってくれた人・服たち』中編の続きです>


次にベルギーのマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)。
中でも忘れられないのがこれです!(1997年)

マルジェラ

20 THE EXHIBITIONより
ボディに肩パットを据えた状態のものをボディごと脱皮させて人に着せる・・。
心を打ち抜かれた理由は、これを着たいかどうかじゃないんです。
服ってなんて楽しいんだろうって思ったんです。
どのシーズンのコレクションも遊び心いっぱいで目が離せませんでした。

そしてミゲル・アドローヴァー(MIGUEL ADROVER)。
彼はスペイン人デザイナーで99年にニューヨークコレクションに初参加しました。
当時の活躍期間があまりに短かったので記憶にない方も多いかもしれません。
残念ながら画像がどうしても見当たらないので説明致しますと、コレクションに“リメイク”という概念を持ち込んだのです。
私の脳裏に焼き付いて離れない1点は(記憶が確かならば)バーバリーのトレンチコートをバラバラに切り刻んで他の生地と組み合わせて全く別のドレスを作ったものです。
え!これって有りなの?と誰もが思ったでしょう。
でも文句なしに新鮮で、見たことのないカッコよさでした。
その証拠にまだ知名度のない彼のショーに出たモデル達は皆彼の服のファンで無償で出演しているというエピソードを聞いた覚えがあります。
とは言えこのコレクション、量産はどうするのかしら?と思ったのですが、当時ほんの数点ですが新宿の伊勢丹で見かけました。

次はイスラエルのアルベール・エルバスのランバン(LANVIN)。
彼も老舗を復興させた一人です。
エルバスに代わってからランバンファンになった女性は数え切れないほどいるでしょう。
私も確実にその一人ですが、なかなか手の出ないお値段なので美術品として鑑賞しています。
新鮮だったのはオートクチュール的な手仕事を上手く身近なものに感じさせてくれたことです。
彼の甘く立体的なギャザーやタックの手法は、現在の我々の仕事の中でも「ランバンの様な」と表現することもしばしばで、デザイナーやパタンナーの共通認識になるほど確立されたものなのです。

次にオランダのヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)。
その名の通りヴィクターとロルフのデザイナーユニットです。
何より好きなのはデザイナー二人のこのインパクトあるビジュアル(写真右)なんですが・・、
私が一番好きだった頃のコレクションの特徴はデフォルメです。

ヴィクター1

ヴィクター2

(COLORS ファッションと色彩展より)

衿を誇張したり右身頃から左身頃にかけてサイズがグレーディングされていたり。
ショーに出てているものは極端な物も多いですが、個性そのままでちゃんと着られるものもたくさんあるのです。それに彼らの服は基本きちっとした服を敢えて崩しているのでこんなに遊んだ服でもどこか品があるのです。
それとショーの演出がとても面白い!機会があれば是非歴代のコレクションの動画を見ていただきたいです。

その他にロメオ・ジリ、ヴィヴィアンウエストウッド、リック・オウエンス、フセイン・チャラヤン、ジル・サンダー、ポール・スミス、ヘルムート・ラング、マルニ、コスチューム・ナショナル、3.1フィリップ・リム、ミナ・ペルホネン、等々・・。
全部について語り始めると長くなりますので割愛致しますが、どのブランドも確実に色々な意味でショックを与えてくれました。
既成概念を覆して新しい感動を人に与えたり唯一無二の世界観を作り出すと言うのは誰にでもできることではないはずです。皆、尊敬すべきデザイナー達です。

《フリーランスの今》
フリーになってから数名のデザイナーさん達のお仕事をさせていただいています。
どの方ともそれぞれの思い出深い出会いがあり、何シーズンも続けて行く中で皆さんからたくさんの影響と刺激を受けています。
現在の私にはその影響力こそが成長する為の原動力になっているのです。
反対に私もそう思っていただけるようこれからも精進致す所存です。

久しぶりに長時間に渡り古い記憶に触れました。
でも意外に根本的なところは何も変わっていないことにも気づきます。
「好きこそものの上手なれ」というところです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。




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