服を知る 1:コレクションとファッションショー(前編) | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
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 ファッションと言えばファッションショーというくらい、世の中で広く知られている華やかなイベントだと思いますが、新作を発表するための手段としてファッションショーをするブランドというのは実は少数派なのです。ただ、少数ではありますがファッションショーを行えるブランドというのは経済的にも余裕がなければならないため、知名度の高いブランドがショーをして、知名度の低いブランドはしない傾向がある事から、あたかもファッションブランドは全部ショーをやっているかのごとく、やらなければならないかの様に認知されている誤解もある訳です。


 一般的な話をすると、一年のうち春夏コレクションと、秋冬コレクションの二大コレクションがあり、ここで各ブランドが新作を揃って発表します。時期に関してはレディスの場合で言うと、1月から店頭に並んで発売されなければならない春夏コレクションは前年の9月から10月にかけて、7月に店頭にならぶ秋冬コレクションはその年の2月から3月にかけて行われます(メンズは春夏が前年の6月から7月に、秋冬が1月から2月にかけて)。主な都市ではニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリの順(その他の都市もおよそ同じ時期にリンクして行っている)に回って行われ、メンズ・レディスごとに年に二回各地で行われます。なぜこのようなまとまった動きをするのかというと、発表する作品は基本的には一般人のためではなく、プロ、つまりバイヤーやプレス、雑誌関係者へのお披露目という意味合いがあるため、時間や場所をかためて行えば、一度にたくさんの人に見に来てもらえるため効率がいいからと考えられます。有名なのはやはりパリコレ(パリコレクション)でしょう、パリは皆さんがご存知のブランドがごっそり集まっていますし、フランス以外のブランドも集客目当てにわざわざパリまで出張するくらい、プロにとっても一番注目の集まる都市ですし、最も人とブランドが集まる場所と言ってもいいでしょう。


 そして、このコレクションというのは各ブランドの新作発表の場であると言いましたが、発表の仕方はブランドにより異なります。とはいうものの、一般的には二種類の方法があって、一つはファッションショーで新作をお披露目した後、別会場でショーに登場した作品を新作品を並べて展示会方式でバイヤーさん等に買い付けてもらう方法。もう一つはショーはやらずに新作品の展示会のみで発表し受注を取る方法のどちらかです。どちらにせよ、発表して見てもらう、オーダしてもらうためにコレクションを作っているのであり、ファッションショーをするためではありませんし、だからショーをしなければならないということにはならないのです。だから、ファッションショーをしていないからといって品質の悪いブランドだとか、イケていないブランドだという事には全くなりません。実際小さな規模でのブランドの場合は経済的な理由もあって、一人だけでファッションショーはおろか、展示会を開く事すら難しい事もあります。そのような場合はいくつかのブランドで集まって合同展示会をおこなったりすることも非常によくあります。そんな小さなブランドにも素晴らしい服を作っているブランドはあるわけです


 そして、このコレクションの情報が即時に各メディアを通して発表され、今では即日で、さらにはライブで中継され、自分が招待されていなくてもファッションショーを見ることもできるようになりました。インターネットのお陰で今まで排他的でやや隠されていた感のあるファッションの世界がだいぶ一般の人の目にもさらされるようにはなったと思います。ただし、このブランド自体の数は知名度の低いモノまで数えると、とんでもなく無数のブランドがある事は想像できると思います。ですので、バイヤーさんなどは、事前にどのブランドに接触するかを決めなければなりませんし、そうなると新人デザイナーに陽が当たるのはなかなか厳しいという事も想像できますね。ただし、バイヤーや雑誌関係者の醍醐味の一つとして、こういった新しい優秀なデザイナーをいち早く自分の力で表に出す事が出来るということがあると思いますが、最近では売れるかどうか、ウケがいいかどうかだけに着目し、そういったパイオニア精神に溢れた人が少なくなっているという問題点も最近では指摘されていますね。ともかく、こうやってコレクションが各地で行われています。ただし、先に述べたように日本のブランドでも海外で発表する事を選ぶ所もありますし、だれがどこでやろうと基本的には勝手です。一応コレクション協会というのが各地域にあり、そこに登録すると登録しているブランド同士は日程がカブる事がないように設定してもらえたり、協会認定のスケジュールにのったりするなどの便宜はありますが、それとは関係なく独自に招待状を作って発表するブランドもたくさんあります。ここでも協会に登録しているかどうかによるブランドの優劣というのは服の本質的には関係ありませんので念のため。


 で、インターネットが普及した今、即日で新作を見る事が出来るといいました。ファッション関係者ならもうあたりまえ(?)かもしれませんが、STYLE.COMというサイトでは、コレクション期間中は即日で最新のファッションショーが全ルック!!アップされます。期間中は毎日のように大量にアップされるので、毎日チェックして次のシーズンにどういった服を買おうかあれこれ悩んでみるのもいいと思います。しかもこのファッションショーのスタイリング(どういった上着にパンツ、どのアクセサリーでどの靴、どの色、、、、といった全身の組み合わせのこと)もプロの人が考えた結果ですので、自分が何を着て何を合わせるかを考える際の勉強にもなりますし、センスを磨く一つの方法である事は間違いないと思います。ちなみに今は2015年リゾートウェアのプチコレクションの期間中でそれの写真が毎日のようにアップされていますので、是非ご覧になって色々な服を楽しんでみてはいかがでしょうか(左上のfashion shows → resort 2015 で後は好きなブランドをチェック!)。


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