医療従事者の立場から、新型インフルエンザに関する医療事情についてQ&A形式でエントリーしたいと思います。Q:新型インフルエンザの潜伏期間はどのくらい?
A:厚生労働省に資料によると、新型インフルエンザの潜伏期間は1日から7日間とされていて、従来の季節性インフルエンザの2日~5日間と比較して幅が少し大きいとされています。
感染の可能性のあるのは発症の1日前ぐらいからとされており、発症した患者の症状が出る1日前に接触を持っていれば感染する可能性があります。
Q:インフルエンザ発症後、どのくらい休養(休暇)が必要?
A:一般的には他への感染防止を含めて発症後1週間は休養(休暇)が必要とされています。
保育園、学校、職場などの復帰は発症から1週間後、症状が長引いた場合は症状軽快から2日後くらいが復帰の目安です。
Q:抗インフルエンザ薬は効果がある?
A:世界的な流行を示している今回の新型インフルエンザですが、南米のアルゼンチンやブラジルでは致死率が非常に高く、同じ南米のチリや日本では致死率が低く、致死率に10倍以上の大きな差が生まれています。日本感染症学会はこの致死率の差の要因が、早期に抗インフルエンザ薬などによる効果的な治療が行われているかどうかの違いのためとしており、緊急提言で、タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬は、重傷化を防ぐ上で非常に有効だとしています。
Q:抗インフルエンザ薬の副作用は?
A:抗インフルエンザ薬は子どもの異常行動などの副作用報道があり、不安視されている方も少なくないと思いますが、副作用発現率(致死率ではない)は新型インフルエンザの0.1%から1%とも言われている致死率と比較しても、投与しないリスクの方が何百倍、何千倍も高いのは明らかです。副作用に過剰反応するあまり、リスクの選択を誤る場合もあると言えます。
Q:抗インフルエンザ薬の有効な投与期間は?
A:抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内の投与開始が有効とされており、それ以上経過してからだと病院でも抗インフルエンザ薬を処方されない場合があります。症状が出たら、効果的な治療や重傷化を防ぐためにも早めに医療機関を受診しましょう。
Q:インフルエンザの簡易検査は有効?
A:インフルエンザの検査キットを確保している医療機関でできる簡易検査は、例え感染していたとしても発症の初期や後期では感度が悪く、初期の場合、個人差はありますが、発症から24時間以上経過してからの検査でないと、陽性(+)と出ないとされています。
また、初期や後期でなくとも感度は100%ではなく、4割~7割の精度とも言われているため、検査で陰性(-)と出ても、感染している場合もあるということで、その場合は、医師は、症状などでの感染の判断を行うことになります。
発症から24時間経過していない状況や発症後期に検査を行ってもお金のムダになる場合が多いのでご注意ください。また、簡易検査ではA型かB型のインフルエンザを判定できるだけで、A型と判定されても新型のAか季節性のA(ソ連型や香港型)かの区別をすることは出来ません。
参考:日本感染症学会緊急提言
「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について(第2版)」
参考:厚生労働省
「新型インフルエンザ最新情報」