新型インフルエンザのワクチン接種に関する実施方針がようやく厚生労働省から出されました。詳細は厚生労働省HPのワクチン関連情報で。接種は10月19日ごろから順次、優先順に。
約5400万人とされる優先接種対象者の優先順位は
【1】医療従事者、【2】妊婦と基礎疾患のある人、【3】1歳~小学校低学年、【4】1歳未満の小児らの保護者、【5】小学校高学年~高校生と高齢者-の順。【1】~【4】までの合計で2300万人。
※優先接種対象者の中に1歳未満が含まれていないのは、乳幼児の場合は接種による効果が小さいためとされている。資料によるとアメリカのCDC(疾病予防管理センター)が推奨する優先対象者の区分ではこどもの対象年齢は日本が1歳以上としているのに対して6ヶ月からとしており、どちらが適切な対象範囲なのか意見が分かれているよう。
【2】の妊婦と基礎疾患のある人の接種開始時期は11月前半頃とされるが、具体的な開始日は各都道府県が随時ホームページなどで公表することになっている。
国産・輸入のどちらを使用するかは、原則として選べないとされているが、【1】~【4】の約2300万人は原則的に国産ワクチンを使用。【5】の約3100万人には輸入ワクチンも使用するとされた。
接種できる医療機関は10月中に各都道府県が公表する予定。接種は16歳未満は保護者同伴を原則。接種間隔を3~4週間空ける2回接種法とし、同じ医療機関で2回接種した場合の接種費用は全国一律計6150円。住民税非課税世帯や生活保護世帯などの経済的困窮者は無料。
※昨日(10/13)の医師会の説明会では1回目と2回目の接種間隔は1週間でよいという説明がされていました。
輸入ワクチンについては、臨床試験(治験)の不十分さの問題などによる副作用、安全性の問題も指摘されています。また、日本のような先進国が輸入に頼ることは、開発途上国などへの供給を減らすことにもつながるため、できるだけ国内生産で安全なワクチンを必要量生産する体制を国の責任で作る努力をするべきだと思います。
現在の新型インフルエンザワクチンの製造単位は1mlバイアルの単位で製造されていますが、集団接種用に10mlバイアル(10人用)の単位で製造すれば、製造できる量を大幅(800万人分)に増やすことができるため、保育園、学校などでの集団接種が可能な接種方法の整備を行い、製造単位の拡大による製造量の増加をあわせて検討すれば、輸入に頼る量を減らすことにも繋がります。
費用に関しては、4人家族で全員が接種を受けた場合は6150円×4で24600円と高額になります。年金だけで生活している高齢世帯2人で12300円は接種をためらう大きな負担です。
埼玉県北本市が10月から1~5歳を対象に、季節性インフルエンザと同様の扱いで新型の予防接種に1回1000円を助成することを決めるなど、いくつかの自治体で助成する事を決めていますが、多くの自治体が独自の助成制度をこれから決めていくことになると思われるので、国や自治体での一部または全額の費用助成制度の整備を行ってほしいと思います。
その後、東京・港区では全額助成、渋谷区、埼玉県深谷市などで半額助成、世田谷区で1回1000円、2回で2000円の助成など次々と費用助成を決める自治体が増えてきています。(10月16日現在)
相模原市のHPの新型インフルエンザの予防接種に関するページでは、国の接種スケジュール、優先接種対象者が接種に必要な確認書類(身分証明書や母子手帳など)などがPDF形式の文書として掲載されていますのかなり参考になります。
また厚生労働省のワクチン接種方針についてのパブリックコメント募集のHPにリンクされている資料も非常に参考になりますのでお勧めです。