特許出願数減少を考える(2) | 特許・実用新案 審査官の視点 & 弁理士の視点

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特許庁で審査官の実務を身に付けてきた弁理士が、様々な観点からつぶやきます。

前回の続きです。ここでは、企業の知財部(弁理士)の考えを採り入れてみます。


ある弁理士会の役職者(かつ、特許事務所所長)が、出願件数の減少傾向を憂いて、「国力の低下」などと悲観的なコメントをしたのに対し、主に企業の知財部(弁理士)側からこんな反論が出たそうです。


無駄な出願を減らしてノウハウとして技術を保持することがいけないのか。



前回、出願を以下のように分類し、

(質の高い、特許になる出願) (質の高い、特許にならない出願)

(質の低い、特許になる出願) (質の低い、特許にならない出願)


特許出願が減少する前の出願数を、ざっくり次のような値としました。

(100) (100)

( 50) ( 50)



上記の「ノウハウとして技術を保持する」を考慮すると、むしろ、質の高い出願の方が減って、

( 50) ( 50)

( 50) ( 50)

になることも考えられます。


この場合も、200件出願されて、特許になるのは100件です。



ここまで登場した数字は、極端な例を示したに過ぎません。

しかし確実に言えることがあります。


それは、単に出願数を減らしても、特許率は改善しないということです。


そして、特許に関するコストを削減する際に最も効果的なのは、特許にならない出願を減らすということです。



ここまで長々と独自の見解を述べてきましたが、このブログのテーマである「特許調査の必要性」を感じて頂けましたでしょうか。



最後までお読みくださりありがとうございました。


 弁理士 田村誠治


※論理がおかしかったらご容赦ください。(仮定が結論に影響しているかも知れません)

明け方に書いたため、チェックする気力が ガーン