ホドロフスキーの
「タロットの道」より
78枚からなるタロットは一つの単一体(universe)であり、カードが一枚一枚、別々のシンボルとして考えだされたものではなく、全体のパーツとして考えだされたというアイデア
は「何も隠されてはいないのです」でご紹介しましたが、ホドロフスキーは単一体のキーワードを用いて、数の概念を本のなかで丁寧に述べています。
数の概念というとカバラーや、今では様々な数秘術があります。
彼は、それらは大いに参考にはなるが、完全一致させようとはしません。なぜなら、できないからです。
それならばとタロットにおける数の概念を、ここでも「そうきたか!」という方法で繰り広げていきます。
例えばこの紙は、マルセイユタロットのカード比率と同じようにカットしたものです。
そこを8分割しています。
ホドロフスキーは10進法でこの概念を説明するのですが、紙が広げられたこの写真の状態は、1つの単一体が完全に展開された状態で10を象徴し
紙が折りたたまれたこの写真の状態を、1の数字で説明します。
宇宙のビッグバンがはじまる前の、ぎゅっと凝縮された状態。
ポテンシャルの塊です。
展開にあたって2~9までの数の配置、そして10進法の採用について、なぜそう考えたのかも理由がきちんと書かれているので、説得力があります。
数の概念は実際のリーディングでも重要ですし、マルセイユ版の小アルカナを読むときにも必須です。
タロット独自の数の意味を発見し統合することは、タロットを理解することの第一段階であり、すべての原則を統合することを可能にします。数の構造をまとめることは、楽譜や文法のような鍵を持っているようなものです。

ホド魂 ~曼荼羅編~
わたしたちの心理がカードの絵に投影されるとき、この数が演出に意味を与える、とも言っています。
タロットに関して私は基本的には講座で学ぶことが多いため、本をそれほどたくさん読んではいなんです。
(今のところマルセイユタロットにしか興味がなく、関連する本が少ないからというのもある)
その少ない本との比較なのであれなんですが、この本の特殊性は、知識とか歴史とかカードの意味を超えてものすごく普遍的なところから、そしてあらゆる角度からタロットを研究し、それを論理・概念だけではなく時に詩的表現を用いて書かれているところです。
左脳的な言語・知識・推理・論理力も使いこなし、右脳的イメージの解釈は芸術的。
ホドロフスキーにしか書けないだろう、と思わせる1冊です。