永遠に思えるほど長く瞑想を続けてみたが、知性を肉体に溶かし込むことはできなかった。


頭のなかから抜けだすのは、頑丈な箱のなかから脱出するのと同じく、不可能なのだと悟った。


頭で生きるのをやめたかったが、私という存在の主権を体に譲りわたすのは無理なのだ。ならば、逆のやり方をやってみよう。


下降が無理なら上昇させる。自分を純粋な知性と捉え、知性のなかへ、肉体の形を吸い上げていった。


それから感覚に類すること、欲求や願望、感情なども理性の領域へ送り込み、いままでの自分がなにを感じていたか、また、そうした感じ方のなかで自分がどのように生きていたかを分析した。


我々が「現実」と呼ぶものは、心が作り上げた構造物なのだと理解した。


では、現実とは幻想に過ぎないのか?


それを知ることはかなわない。








『リアリティのダンス』
アレハンドロ・ホドロフスキー
青木健史訳