佐藤多佳子「しゃべれどもしゃべれども」 | 走って、食べて、本読んで…

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読書専用ブログでしたが、ヤフブロからラン記録とB級グルメ記事をまとめて引っ越してきました。とても同一人物が書いているとは思えない?という脈絡のなさがウリです(笑)

てやんでい!こちとら江戸ッ子でい!

 

というセリフが本当に江戸時代に交わされていたかどうかは別としましててへぺろ

 

古き良き日本の庶民文化を今に伝える、それが落語の世界ですね。

 

先日はまたも一人の名人が他界してしまいました。桂歌丸師匠…。

ご冥福をお祈りしたいと思いますお願い

 

追悼という意味ではないのですが、今回は落語を舞台とした作品。

 

佐藤多佳子さんの名作ですね。「しゃべれどもしゃべれども」

文庫本となったのが2000年5月というのですから、既に18年も前。しかし、いまだに書店によっては平積みで売られているのですから、本当にロングセラーの作品です。

 

ケンカっ早くて頑固、女ごころは全く分からない鈍感な主人公、今昔亭三つ葉(26歳)。

まだ真打に昇進できない「二ツ目」の身分ながら、ひょんなことから4人の男女に落語を教える羽目になってしまった。

しかも、それが、みんな「話す」ことに何かしら問題を抱える連中ばかり。

そのうえ、主人公も本職にも身が入らなくなって、高座に上がっても「セコ」な噺しかできなくなってしまう。

しかも、勢いからこの4人、落語の発表会をすることになってしまった。

問題を抱える5人衆、果たして無事に発表会を迎えることができるのか?

ある意味、ちょっと特殊な青春小説、かもしれません。

 

私は個人的に落語は大好きですよ。

今でもiPhoneで志ん生や談志、三遊亭円生、古今亭志ん朝、小さん(みんな故人やね…)の名演を聴きながら、大濠公園をランニングしてます(笑)。

存命の方なら、志の輔さんが好きですな。

 

落語って、私が思うに究極の芸。

何しろ、登場人物がどれだけ多かろうが、全て一人で演じちゃう。

しかも場面転換などがあっても、座布団の上で全て演じ分ける。

使う小道具も、扇子と手ぬぐいのみ。お茶を使うこともあるけど、それ以外は一切使わない。

 

なんてコスパに優れた芸なんでしょ!OK

 

それだけに演者の力量が大きく左右しますよね。

 

ところで、現在の社会においてはいわゆる「トーク術」だったり、対人コミュニケーション術と言われるものが重要になっていることは皆さんもご存じの通りです。

しかし、実際には他人と会話ができず、ストレスを感じる方も多いことも事実。これが重症化すると、メンタルを病んでしまいます。

現代社会の大きな問題の一つですよね。

 

この作品の中でも、やはり主人公もそうですし、彼に弟子入り(?)している4人も、「話す」ことに何かしらのコンプレックスを持っています。

それが、落語を通じて、それぞれがどのように変わっていくのかが見どころになっています。

 

人前で話すこと、これにはとんでもないエネルギーがいるんだな、ということを改めて感じさせる一冊だと思います。

 

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書名:しゃべれどもしゃべれども

著者:佐藤多佳子

出版元:新潮文庫
初版:2000年5月
紹介文(文庫本裏表紙より)

俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ッ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで……胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%!