NHK「虎に翼」が評判になっています。でも、その中での男性の描き方に違和感を持ちます。

 

ドラマの舞台は、昭和10年前後です。すなわち、我々の親や祖父や曾祖父の時代です。では、我々の父や祖父や曾祖父は、「虎に翼」に出てくるようなひどい男だったのでしょうか。確かに、母親任せであったり、時には女遊びをしたりもしたでしょう。でも、筆者が知っている限り、それで問題となるような男は一部であって、多くの男は真面目でした。自分の親戚回りや、生活圏での話ですが。

 

ドラマは、まるで、男女分断をしようとしているように思えます。ドラマの脚本家やスタッフの父親や祖父は、ドラマに出てくるような人間だったのかもしれませんが、多くの男はそうではなかったと思います。子供の前で、「お前の親父は妾を囲ってたいしたもんだ」とか言う大の大人が何人いたでしょうか。いかに戦前の人間とは言え、そのようなことを言う男はほとんどいなかったと思います。家庭でも、徹底的に女性を馬鹿にするような男が何人いたでしょうか。確かに、家の外ではたいしたことないように言っても、家庭ではそのような事は言わないと思います。まして、子供の前では母親を馬鹿にしたようなことは言わなかったと思います。筆者も、母親に減らず口をたたいて父親にこってり叱られたことも有りますし、父親も、祖母の言ううことはよく聞いていました。たとえ、それが女だからとの感が出会ったとしても、母親を馬鹿にするようなことは言っていませんでした。

 

もしかしたら、「虎に翼」で描いているのは、一部当時の中流上から一部上流社会での事なのでしょうか。一般庶民の社会では、あんなことはあまり無かったのではと思います。また、いろいろな当時の指導者層の伝記とか読んでも、あのような考えの男はいません。自分の妻をこき下ろしたり馬鹿にしたりせず、どちらかと言うと愛妻家が多いように思います。一体「虎に翼」の社会は、どのような階層の話なのでしょうか。もしかしたら、法曹界はあのような社会だったのかもと思います。現代でも、分けの判らない考えの弁護士が沢山います。そして、明治維新後の米欧の法律やそれに基づく価値観を勉強したものが、ドラマに出てくるような男になったのかもと思います。

 

寅子たちも、自分たちの立場や状況だけを考える人間のように思えます。自分たちの周りの、自分たちを支えてくれている女性たちには、何の配慮もないように思います。花江とか家族令嬢(名前忘れた)のお付きの子とか、彼女たちがいるから今の自分があるということには、全く意識がいっていません。家族令嬢の子は、まだ気が付いていますが、寅子は全く気が付いていません。と言うよりも、甘えていて、それが当然と言うよりも、自然な生活ととして生活しているようです。自分がいかに助けられ、状況に甘えているかと言うことに意思がないように思います。

 

「虎に翼」は、男女差別と闘ったことが主題で評判も良いようですが、法曹界を目指す人物が集まった狭い世界の中で、米欧思想の染まった男子優位の意識を持った男たちとその男たちに馬鹿にされることに腹を立てた女性との戦いであって、とても男女平等を目指したものとは思えません。

 

本当に男女平等を言うのなら、米欧思想の男女平等の価値観に従うのではなく、世界各地事情、宗教、生活環境・・・を研究し、不平等な点は何で、その原因はどこから来ているのかを理解して、その国や国民性にあった平等を実現すべきと思います。単純に、米欧の男女平等観が正しいと妄信していては、とても男女平等に実現はできないでしょう。世界各地に戦争を巻き起こすだけと思います。

 

NHKには、もっとよく考えた番組作りをしてもらいたいものです。特に社会の分断を図るような番組は、受診料支払い者としても、社会の分断を懸念する視聴者としても、やめてもらいたいと思います。

 

                         令和 6年 4月 25日