小林製薬の紅麹サプリの影響問題が大きくなっています。

 

ここで、不思議なと言うか疑問なのは、消費者行動です。味噌とか麴食品の消費が減っているようです。一方で、サプリメントの消費が減ったという話は聞きません。何故、安全性の高い食品を敬遠し、安全性がまだはっきりしていないものを有難がるのでしょう。

 

紅麹等の発酵食品は、日本人が長年食してきたものです。これは言い換えると、長期にわたる人体検証が行われ安全となっているものです。通常、食品の安全性を証明するには、何百万人もの人に何年間か食してもらう必要があると聞きます。それでも、何百万人に一人とか何千万人に一人とかの確率にはならないと聞いています。でも、人間が長年食してきたものは、この条件をクリヤしてきたものと同等とみなすことができます。何百年も何万人もの人が、それも体質の違った人が食してきて、安全と認識してきたものだからです。

 

今は、日本食が健康食と言われていますが、一時は塩分が多いの何のと言われていました。特に、みそ汁などは、その代表格で、高血圧の下と言われ寿命を短縮させるとまで言われたように記憶しています。その後の研究で、自然食は種々のミネラルを含んでいて、その作用もあって健康食となっていることがわかってきたようです。つまり、一つの成分の有効性だけでなく、食品全体に含まれている種々の成分の相互作用が大切と言うことだと思います。塩も、海水から作ったものは種々のミネラルを含んでいるので、塩分の悪影響が抑えられていると思います。一方、塩の主成分がNaClだからと言って、NaClだけを食すと体にはよくないと思います。すなわち、海水から作った塩は、長年人類が食してきて安全性が確認されていますが、NaClだけを食した影響は、まだはっきりしていません。

 

これと同様に、紅麹の安全性は長年食されてきたことで明らかと思いますが、紅麹の一部成分だけを取り出した場合の安全性は、いまだ不明です。同様に、多くのサプリの安全性も未詳と思います。確かに、薬事法で規定された検証はクリヤしているでしょうが、何千万人に一人と言うレベルまでにはなっていないと思います。

 

今事案も、紅麹を取ってコレステロールの低減を行っていれば、安全だったと思います。もちろん、効果は現状維持か徐々に低減する程度でしょうが。でも、効果を求めて、主成分を取り出してサプリ化した時に余分なものが入り込んだ結果、起きたことのようです。

 

それなのに、発酵食品を敬遠してどうするのでしょうか。安全性を求めて、安全性の高いものを敬遠する。全く不思議な行動です。人間には、長年食してきた食品が最も安全であるということを理解して欲しいものです。

 

                    令和 6年 4月 1日